著者
平澤 毅
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.367-370, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

15世紀末の「廻国雑記」は, 多くの和歌・俳譜歌・漢詩・連句などによって綴られた紀行文である. そのなかには多くの地名がみられ, 古代・中古以来〈歌枕〉として知られる土地に限らず, 従来の文学とは無縁の地に関する記述を多く含む. その記述の姿勢には, 古くからの情報に捕らわれず, 俳譜性に基づいて, その土地の由緒を里人に尋ねたり, みずからの直接的感懐を述べるなど,〈歌枕〉的な名所観からの脱却のきざしがみられる. 本稿では,「廻国雑記」の記述に見られる名所・風景に関する観念のあり方に注目して, その特性に関する考察をおこない, 中古・中世の紀行文から近世の名所案内記への流れを検討する上で重要な作品であるとした.

言及状況

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平澤毅. (1999). 「廻国雑記」 にみる名所・風景の記述. ランドスケープ研究, 63(5), 367-370. https://t.co/xU3KdIWvp8

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