- 著者
-
関塚 真美
- 出版者
- 一般社団法人 日本助産学会
- 雑誌
- 日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.2_19-2_27, 2005-12-31 (Released:2008-02-29)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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目的産後うつ傾向を早期に発見することの意義は, 心理的健康障害を阻止できることにある。産後うつ傾向の原因は一般に急激な内分泌変動と考えられているが, 出産満足度が低いと産後うつ傾向が高いことも指摘されている。本研究は産後うつ傾向を出産後ストレス反応と位置づけ, ストレス反応を産後うつ尺度およびストレス関連物質にて評価し, 出産満足度と出産後ストレス反応の関連を明らかにすることを目的とした。対象および方法調査期間は2004年4月から10月であった。対象者は54名で, 妊娠末期と産褥早期に質問紙調査とストレス関連物質の測定を実施した。質問紙では「基本的属性」, 「分娩経過」, 「出産時不安尺度」, 出産満足度として「出産体験の自己評価尺度」, ストレス反応の主観的指標として「産後うつ尺度」を調査し, ストレス関連物質として分泌型免疫グロブリンA (secretory Immunoglobrin A : 以下, s-IgA) を測定した。結果出産満足度の低い群は高い群に比較し, 産後うつ得点が高く (35.1±7.9点), s-IgAが低値 (23.8±13.4μg/ml) であったことから, 満足度の低い群ではストレス反応が高いことが示された。しかし, 産後うつ傾向が高い群はs-IgAが有意に低いということはなく, ストレス反応の評価には関連がなかった。結論出産満足度の低い群は, 高い群に比較し産後うつ傾向が高く免疫能が抑制されていることから, ストレス反応が高いことが示され, 出産満足度を高める意義が示唆された。