著者
中野 良顯
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.172-177, 1996-08-15 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

「実践研究の方法と課題」で論ずべき主題を考察した。実践研究の概念を分析すると、臨床心理学の訓練の理想的範型、サイエンティスト・プラクティショナー・モデルに到達する。このモデルが目指すのは、消費者・評価者・研究者の3役割を統合する生産的研究者、分析的実践家の育成である。個体分析法によって臨床実践の実験科学化を可能にした応用行動分析は、このモデルの使命を実現する最も正当な継承者である。それは実践の科学化を可能にするための7指令に、社会的妥当性と効果的処遇を受ける権利という新しい次元を加え、研究者と実践家の行動指針とした。これらの指令は、研究者はどうすれば実践の問題に関連深い研究を展開できるか、実践家はどうすれば科学的方法論を駆使して伝達可能な情報を生み出せるか、科学に基づく実践を受益者に好かれる実践にするにはどうすればいいか、そして緊急に解決すべき問題を持つ人々が問題の改善に有効な介入を受ける権利をどうずれば保障できるか等の基本的課題への試案的回答として提出された。それらは日々の実践研究において反復検討され、十分吸収活用され、一層発展させられなければならない。

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J-STAGE Articles - 応用行動分析とサイエンティスト・プラクティショナー・モデル(公開講座 : 実践研究の方法と課題)(<特集>実践研究) https://t.co/pUBYev1Tfw 実践者と研究者の乖離に対して早い段階から統合モデルを示し、どうすれば可能かまで詳細に提起するのは米国らしい理想の発露と思う
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