著者
石倉 啓行 山崎 信寿
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.54-61, 2013-04-15 (Released:2013-06-19)
参考文献数
10

オフィスのフリーアドレス制による事務机の共有化が,ノートPCの普及と共に進みつつある.しかし,ノートPCでは,ディスプレイの見やすさとキーの打ちやすさを両立させることが困難であった.このため,形状可変実験椅子を用い,女性5パーセンタイルから男性95パーセンタイルについてノートPC作業を行いやすい椅子条件を求めた.その結果,ノートPCのキーボード面を10°起こし,背もたれ腰部を68°として胸郭支持部は79°にし,座面を水平から10°後傾させれば良いことがわかった.また,低身長者には座面中央部の幅260 mmの範囲の座面長を354 mmとし,左右の座面長は378 mmとして高身長者の大腿側面を支持する最大35°の傾斜をつけた.座面高は350~410 mmで,目の高さを下げるため,従来オフィスチェアよりも低くする必要があることもわかった.試作椅子による40分のノートPC作業では,従来椅子と同等の作業効率で頭頸部の前傾は平均9°小さく,肩の挙上もなくなり,三角筋,僧帽筋,脊柱起立筋の負担が減少し,下肢のむくみも低下した.

言及状況

外部データベース (DOI)

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> いろいろ実験を重ねるうちに、机の高さを70センチにし、ノートPCを10度程度傾斜させたら、背もたれに体を預けた姿勢でもキー操作が楽になることが分かったのです。 後傾気味の体制での作業には机側の傾斜も必要,というのは分かるが,天板面70cmというのは「普通の机」の寸法であって若干高すぎじゃないの?という疑問が. で,記事中のリンクの研究原稿を見ると > このため,本研究では可変実験椅子 ...

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