著者
中島 康佑 永田 和之 大下 智也 村木 亮介 有道 真久 平岡 有努 林田 晃寛 吉鷹 秀範 坂口 太一
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-87, 2017 (Released:2017-07-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1

経皮的心肺補助管理中に発生する合併症の一つに、溶血がある。溶血発生要因の中に、遠心ポンプの過剰な揚程(陽圧・脱血回路圧[陰圧])運用が言われており、適切な評価・対応が重要であると考えられる。しかしながら、当院においても明確なcut off値の基準が定められていない。そこで2012年から2015年までの経皮的心肺補助を必要とした101例を対象とし、管理1日目の血液検査結果において溶血と記録されたものを溶血有とし、後ろ向きに溶血発生要因に関する因子の検討を行った。結果、溶血有と記録された症例は27例(26.7%)であった。溶血無群と比して、溶血有群において、有意に高い遠心ポンプ揚程(512.9±181.8mmHg、333.4±120.1mmHg;p<0.0001)、脱血回路圧(陰圧)(-317.6±170.9mmHg、-156.7±108.0mmHg;p<0.0001)を認め、溶血の独立リスクの一因子と考えられた。また、これらの因子のreceiver-operator curve解析を行うと揚程430mmHg以上、脱血回路圧(陰圧)-270mmHg以下が溶血リスクのcut off値として算出された。更に溶血有群において急性腎障害発生率(60%[14/23]vs. 13%[7/52];p<0.0001)と有意に上昇していることからも、溶血回避を含めた対策が重要であると考えられた。

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