著者
野間 俊一
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.122-129, 2014-04-15 (Released:2017-06-03)
参考文献数
5

摂食障害治療にはさまざまな困難が伴う。摂食障害は栄養障害に対する身体管理を行う必要があるため,一般の精神科医から敬遠される傾向があるが,身体管理を最寄りの内科医に委ねることで精神科医の負担はずいぶん軽減するはずである。摂食障害に対して提唱されている複数の治療法の選択は難しいが,パーソナリティ傾向によって「反応・葛藤型」「固執型」「衝動型」に,症状発現の段階によって「急性期」「亜急性期」「慢性期」に分類することで,タイプと病期を目安にして治療法を選択することができる。摂食障害患者は一見病識を欠き治療意欲が乏しいと思われるが,それは彼らの自己愛のテーマとこの病気の嗜癖性のためである。彼らの自己愛を理解しつつ嗜癖としての食行動異常を安心して手放すことができるよう導くことが求められる。摂食障害治療では,身体面を含む現実状況へ配慮しつつ,彼らに安心を与える良好な治療関係を確立することが重要である。

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摂食障害治療の難しさ https://t.co/SXw2xiiQvD これ読むと摂食障害治療が理想通りにいかなくて大変なのちょっと分かる
@ushi_mo エビデンスの論文も大事ですが,現実に適った議論や論文も必要かなと思います。 https://t.co/Ue0PIASbcx
こちらの野間先生 @sh_noma の特集記事でも「摂食障害を取り巻く医療環境をより良いものにしていくためにも,まずは一般精神科医が消耗することなく摂食障害患者に関わることができるような方法論が求められている」というのがテーマだった。読みやすい。 https://t.co/xTeKBZeXSE

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