著者
内藤 泰
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.264-271, 2001-07-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
38
被引用文献数
2 1

聴皮質の一次聴覚野と聴覚連合野には細胞構築だけでなく, 発達期における髄鞘化においても明らかな差がある.ポジトロン断層法 (PET) で人工内耳を介した語音聴取中の言語習得前失聴者の脳賦活を観察すると, 一次聴覚野はある程度活動するが聴覚連合野の賦活は乏しく, 一次聴覚野の機能は先天的に規定される要素が強く, 聴覚連合野の発達は後天的な言語音聴取に強く依存していることが示唆された.また, 言語習得前失聴の小児でも人工内耳を使い続けることで聴覚連合野に語音認知の神経回路が発達し得るが, その発達は視覚言語の発達と競合する可能性がある.一方, 臨界期をすぎると語音認知の神経回路は長期間, 強固に保持されるが, 加えて, 人工内耳で符号化された語音の認知に際しては, 側頭葉の聴覚連合野だけでなく, ブローカ野や補足運動野の活動も亢進することが明らかになった.

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@VVdGdgIx4gK9Z5N 脳の可塑性についての研究もあり、最終的にその子と最後まで関わるのは保護者ということも考えると、療育の初期段階で最も尊重されるべきは保護者の選択だと思います その上で、成長にあわせて子どもと話し合い、合意形成しながら進んでいけるといいなと思います https://t.co/uR9GxHdXRC
こちらの論文を思い出して読み直し. 内藤 泰「聴皮質の発達と可塑性」(「音声言語医学」2001年, 42号) https://t.co/foPrWVfYJi

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