著者
三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-18, 2019-04-23 (Released:2019-05-14)
参考文献数
151
被引用文献数
3

スズメ,ツバメをはじめとして,さまざまな鳥類が人工構造物に営巣をしている.これまで,この現象は,何か奇異な現象として捉えられることが多かった.しかし,都市の拡大とともに人工構造物の数は増加しており,都市において,鳥類が人工構造物に営巣することは,すでに日常的な景色となっている.そこで本稿では,日本において,どの種がどのような人工構造物を使って営巣しているかをまとめ,その上で,鳥が人工構造物に営巣していることを,どのような視点でとらえることができるか検討をした.鳥が人工構造物に営巣することは,ヒトと鳥との相互作用として捉えることができ,特に,ヒトの文化がどのように鳥類に影響を与えているか,と考えることができる.また,現代の都市の鳥類多様性は,人工構造物にかなりの部分,依拠している可能性も考えられる.鳥類が人工構造物を営巣することで,停電などヒトとの軋轢も生む.鳥類が人工構造物に営巣することで,ヒト,鳥類,それぞれにとって生じる利点と不利点を明らかにしつつ,それに対して人々がどのような価値観をもつのか,どのように対応していくべきなのか,総合的に考えていく必要がある.

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こちらの論文なども大変興味深いです。また共著者となっておられるハシボソとクルミの研究等も大変面白い。 https://t.co/gO1B96KZyx https://t.co/fZZaObfBh9
三上修「鳥類による人工構造物への営巣:日本における事例とその展望」 https://t.co/GgwPYhRN5E

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