著者
三上 修 三上 かつら
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.T11-T21, 2010 (Released:2011-01-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

近年,日本においてスズメ Passer montanus がサクラ Prunus sp. の蜜を吸い,その結果,花を落とす行動がよく見られるようになっている.これにより,サクラを愛でる個人や団体が不利益を被ることになる.そこで、,その程度を定量化する方法を考案した.その方法とは,サクラの樹の下に落ちている花を拾い,スズメによって落とされたものかどうかを判定するものである.本論文では,この方法の利点,問題点をまとめた.また,この方法を用いて評価する限り,盛岡市内および近郊の4つのサクラの名所では,スズメによるサクラへの害は軽微であることが示された.
著者
青山 怜史 須藤 翼 柿崎 洸佑 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.11-18, 2017
被引用文献数
2

ハシボソガラス<i>Corvus corone</i>がクルミ(オニグルミ<i>Juglans mandshurica</i>の種子)を高い位置から投下して割って食べていることはよく知られている.ハシボソガラスが効率よくクルミを割るためには,どのくらいの重さのクルミをどれくらいの高さから何回落とすかが重要となる.そこで本研究では,ハシボソガラスのクルミ割り行動の基礎情報としてクルミの性質について理解することを目的とし,以下の3つを明らかにする実験を行った.(1)クルミはどの程度の高さから何回落とすことで割れるのか.(2)クルミの重さによって割れやすさに違いはあるのか.(3)クルミの外見の大きさ(殻の直径)およびクルミ(殻+子葉)の重さと,内部の子葉の重さに関係はあるのか.さらに簡易的に(4)ハシボソガラスは,重いクルミを選択するのかについても実験を行った.その結果,(1)落とす高さが高いほどクルミは割れやすい,(2)重さによって割れる確率に違いは見られないが,重いクルミは殻が欠けて割れ,軽いクルミは縫合線で割れる傾向がある,(3)重いあるいは大きなクルミほど可食部も重い,(4)ハシボソガラスは重いあるいは大きなクルミを選択的に持っていく,ことが明らかになった.
著者
大山 ひかり 斉藤 真衣 三上 かつら 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.235-239, 2020-10-26 (Released:2020-11-20)
参考文献数
13

積雪時に視認性を高めるために道路上に設置された固定式視線誘導柱に,鳥類が営巣することが知られている.しかし詳しい調査記録はない.そこで本研究では,2019年6月に北海道七飯町の湖沼「大沼」を囲む道路の固定式視線誘導柱において,営巣している種と巣の数を調査した.調査した218本中89本に穴が空いており,89本のうち14本で餌運びまたはヒナの鳴き声が聞こえ,10本で営巣していると推測される出入りがあった.確認された種は,スズメPasser montanus,ニュウナイスズメP. rutilans,コムクドリAgropsar philippensisの3種であった.
著者
藤岡 健人 森本 元 三上 かつら 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.153-159, 2021-10-25 (Released:2021-11-12)
参考文献数
25

都市緑地においてカラス類が営巣している場合,利用者がカラス類に襲われないようにするために,自治体によってその巣が撤去される場合がある.しかし,都市緑地からカラス類の巣を撤去すると,撤去されたペア,あるいは本来そこにあったなわばりの防衛効果がなくなり,周囲の電柱への営巣を助長し,停電のリスクを上昇させ,電力会社による撤去コストを増やしてしまう可能性が考えられる.この可能性を検証するために,北海道電力函館支店の2017年から2018年における巣の撤去記録を用い,カラス類が営巣した電柱と緑地分布の関係を解析した.その結果,カラス類の巣があった電柱は緑地から遠いことが示された.このことから,都市緑地にあるカラス類の巣の撤去は,周辺の電柱への営巣を助長する可能性があるので,撤去をすべきかどうか慎重になるべきと考えられる.また,撤去する場合は,ヒトへの攻撃性の高いハシブトガラスCorvus macrorhynchosの巣を優先的に撤去したり,撤去により周辺電柱への営巣可能性が高まることを電力会社と共有したりすることが有効である.
著者
室本 光貴 三上 修
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.S7-S11, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
14

ドバト Columba livia var. domestica は羽色に表現型多型が見られ,世界的に多くの研究が行なわれている.しかし日本では,ここ約40年ほど調査が行なわれていない.そこで本研究では,東京と大阪でドバトの羽色の割合を調査した.その結果,東京のドバトは灰二引と言われるタイプが少なかった.また東京については,過去の新聞記事の画像より,ドバトの羽色を年代ごとに解析すると,現代へ近づくにつれて灰二引が減っていることが明らかになった.
著者
高川 晋一 植田 睦之 天野 達也 岡久 雄二 上沖 正欣 高木 憲太郎 高橋 雅雄 葉山 政治 平野 敏明 葉山 政治 三上 修 森 さやか 森本 元 山浦 悠一
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.R9-R12, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
7
被引用文献数
8

全国的な鳥類の分布情報データを用いて,各種の分布を決める要因や生息数の増減に影響する要因等を探る上で,どのような生活史・生態・形態的な特性をもった鳥において変化が見られるのかを検討することは,効果的な解析手法の1つである.こうした解析を行なうためには日本産鳥類の形態や生態に関する情報が必要である.そこで,今回,海鳥類を除いた日本でみられる鳥類493種について,生活史や生態,形態の情報についてとりまとめ,データベース化した.このデータベース「JAVIAN Database(Japanese Avian Trait Database)」は,さまざまな研究を行なう上でも有用な情報と考えられるため,ここに公開した.
著者
浅野 凜子 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.145-152, 2022-10-24 (Released:2022-10-31)
参考文献数
25

米英に比べ,日本では,各家庭の庭で鳥に給餌をする習慣を持つ人が少ない.この原因として,日本はバードウォッチャーの数が少ないので給餌をする人も少ないという可能性と,バードウォッチャーの数とは無関係に給餌をする人が少ないという可能性の両方が考えられる.どちらで説明できるか,あるいは両方ともが必要かを明らかにするために,本研究では,日米英の3か国で,バードウォッチャー数の指標として,野鳥観察に関わる団体の会員数を調べた.その結果,会員数は日本において総数においても人口当たりの数でも最も少なかった.さらに,野鳥観察に関わる商品に対する購買力と給餌に関わる商品に対する購買力を比較するために,アマゾンのネットショッピングサイトで,給餌に関わる商品と野鳥観察に関わる商品のレビュー数と価格を3か国間で比較した.その結果,米英では,野鳥観察よりも給餌に関わる商品に対するレビュー数が多かったが,日本では逆に野鳥観察に関わる商品に対するレビュー数のほう多かった.また,給餌に関わる商品と野鳥観察に関わる商品の,相対的な平均価格は,どの国も,野鳥観察に関わる商品のほうが高かったが,日本においてもっともその差が大きく,給餌よりも野鳥観察に,より費用をかけていることが明らかになった.以上のことから,日本で給餌の習慣がないのは,バードウォッチャーが少ない効果もあるが,それだけでは説明できず,給餌に対する意欲そのものが,他2国よりも低いことが示唆された.
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
須藤 翼 柿崎 洸佑 青山 怜史 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-9, 2017 (Released:2017-05-13)
参考文献数
25

世界的に普通種の減少に注目が集まっている.普通種は個体数が多いため,その減少は生態系サービスに大きな影響を与えるからである.日本においては,普通種であり,かつ最も身近な鳥の1つであるスズメが減少していると言われている.これまでスズメの減少要因として,建物の建て代わりによってスズメが営巣できる隙間の数が減ったこと,都市の緑地が減って繁殖成績が下がったことが挙げられているが,どちらも間接的な証拠しかない.そこで本研究では,北海道函館市内の住宅地に10,000 m2の調査区を24設置し,緑地に近いかどうか,建物の隙間の数が多いかどうかによって,スズメの営巣数が異なるかどうかを検証した.AICを基準に,スズメの営巣数を説明するモデルを選択した結果,スズメの営巣数は,緑地が近くにあること,営巣できそうな換気口の数が多いこと,に正の影響を受けていることが示された.もしこの要因が確かなら,今後も,スズメの減少は続く可能性がある.都市における緑地は減少し,建物の建て替わりによってスズメが営巣できる隙間の数は減少すると予測されるからである.
著者
三上 修 三上 かつら 松井 晋 森本 元 上田 恵介
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.A13-A22, 2013 (Released:2013-04-06)
参考文献数
12
被引用文献数
3

近年,日本国内においてスズメ Passer montanus の個体数が減少傾向にあると言われている.この要因として,住宅構造の変化がしばしば挙げられる.具体的には,スズメは住宅など人工物にある隙間に営巣するが,近年になって建てられた住宅は,気密性が高いので,スズメが巣をつくれず,それによってスズメの減少が引き起こされたのではないかというものである.このことは可能性としてはあげられてきたが,実際にそのような影響が本当にあるのか,あるとしてどれくらい影響なのかは,わかっていない.そこで,これらを明らかにするために,岩手県と埼玉県において,1970年代から2000年代のあいだに異なる時期に宅地化された住宅地それぞれのスズメの巣の密度を調べ,比較した.その結果,巣の密度は,岩手県の調査地では,1970年頃にできた古い住宅地は2000年頃にできた新しい住宅地の3.8倍高く,埼玉県の調査地でも,古い住宅地は新しい住宅地の4.8倍高かった.このことから,住宅が新しくなったことで,スズメが巣をつくれなくなり,スズメの減少をもたらした可能性は大きいと考えられる.ただし,住宅が新しくなることによりスズメが営巣しづらくなる詳細なしくみは,岩手県の調査地と埼玉県の調査地のあいだで,異なっていた.今後より広い範囲での調査が必要である.
著者
三上 修
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A1-A8, 2009 (Released:2009-09-16)
参考文献数
13
被引用文献数
4

近年,日本においてスズメ Passer montanus の個体数が減少している可能性が指摘されている.その減少要因について,いくつかの仮説が提示されているが,何が原因かわかっていないのが現状である.減少原因のひとつとして都市環境において,スズメの繁殖がうまくいっていないことが考えられる.そこで,都市部と農村部において,「幼鳥の比率」および,「ひとつがいが面倒をみている巣立ちヒナ数」を比較した.その結果,どちらの値も都市部において低く,予測した通り,スズメの繁殖は,都市部においてうまくいっていないことが示唆された.さらに,後者の値は,都市部において 1羽程度と少なく,都市部では,スズメの増殖率がマイナスになっている可能性も考えられた.都市での繁殖の不振が,スズメの個体数の減少の一要因になっているのかもしれない.
著者
三上 修
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.A19-A29, 2008 (Released:2008-12-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

スズメは日本において最も身近な鳥でありながら,その基礎的な生態についてわかっていないことが多い鳥でもある.本研究では,スズメの最も基礎的なデータの 1つである,日本本土におけるスズメの個体数を推定することを試みた.まず,スズメの生息密度が異なると予測される 5つの環境において(商用地;住宅地;農村;非繁殖地;その他),野外調査によりスズメの巣密度を調査した.そして,それぞれの環境が日本本土に何km2あるのかをGISデータより求め,環境ごとに面積と巣密度を掛け合わせることで,日本本土におけるスズメの全巣数を推定した.その結果,約900万巣という結果が得られた.この値に一夫一妻を仮定して 2倍することで,2008年の繁殖期における日本本土のスズメの成鳥個体数は,およそ1,800万羽と推定できた.成鳥 1つがいあたり,秋までに 3羽の若鳥が生存すると仮定すると,秋には4,500万羽ということになる.なお,この値の取り扱いには注意する必要がある.なぜなら,これらの推定値はいくつかの仮定に基づいているため推定値としては粗いものであり,また実際のスズメ個体数は年によって変動すると推測されるからである.一方で,そのような粗さを考慮に入れても,日本本土における繁殖期におけるスズメの成鳥個体数は,数千万の桁に収まると思われる.
著者
三上 修 菅原 卓也 松井 晋 加藤 貴大 森本 元 笠原 里恵 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-13, 2014 (Released:2014-05-09)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

スズメPasser montanusは日本の都市を代表する鳥であり,もっとも身近な生き物の一つである.スズメは人工構造物にできた隙間に営巣するので,ヒトHomo sapiensはEcological Engineer種として,スズメに生息環境(営巣環境)を提供しているといえる.スズメは電柱にも営巣することがわかっている.ときにそれは停電という問題を引き起こす.このような軋轢を解消しつつも,スズメとヒトが都市のなかで共存することが重要である.そこで,本研究では,スズメによる電柱への営巣の基礎的な情報を得ることを目的とした.その結果,スズメが主に営巣しているのは,電柱の構造物のうち腕金であることが明らかになった.ただし,都市によって,営巣している構造物および数に違いが見られた.これは,管轄している電力会社が異なるため,営巣可能な電柱の構造物の種類及び数に違いがあるからである.さらに関東地方の都市部と郊外で比べたところ,都市部では電柱への営巣が多く,郊外では人家の屋根への営巣が多かった.これは,都市部では,電柱の構造が複雑化するため,電柱に営巣できる隙間が多いこと,郊外は,屋根瓦が多く,屋根に営巣できる隙間が多かったことなどが原因と考えられる.スズメの電柱への営巣は停電を引き起こしうるので,営巣させないような努力が必要であるが,一方で,建物の気密性が高まっていることで,スズメの営巣環境は減っている.スズメが営巣できる環境を維持しつつ,電柱への営巣を制限する道を探っていく必要があるだろう.
著者
荒 奏美 三上 かつら 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.43-51, 2019-04-23 (Released:2019-05-14)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ハシボソガラスは,硬い殻に包まれたオニグルミの種子を食べるために,しばしば車に轢かせて割る.この行動は,車という人間の作り出した道具を利用する点で興味深い行動である.しかし,これに関する研究は1990年代に仙台市で研究されて以来行われていない.そこで本研究では,2016年の10–12月に函館市内において,この行動の観察を行い,仙台市で観察された行動と比較した.その結果,仙台市で観察されたクルミ割り行動とはいくつかの違いが見られた.特に大きな違いは設置方法についてであった.仙台では信号に止まった車の前にクルミを置く行動が観察されていた.これはクルミを割るには効率的な方法と思われる.しかし本研究の観察では,ハシボソガラスは電線などの高い所からクルミを落として設置していた.函館市におけるハシボソガラスのクルミ割り行動は仙台市の事例に比較するとまだ効率化が進んでいないと推測された.この違いをもたらす要因として,環境条件およびクルミの状態の違いなどが考えられた.
著者
三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.161-170, 2009-10-24 (Released:2009-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
12 8

スズメPasser montanusの数が減っているのではないか,という声を,近年,各所で耳にする.そこで本研究では,スズメの個体数に関する記述および数値データを集め,スズメの個体数が本当に減少しているかどうか,減っているとしたらどれくらい減っているのかを議論した.その結果,現在のスズメの個体数は1990年ごろの個体数の20%から50%程度に減少したと推定された.1960年代と比べると減少の度合いはさらに大きく,現在の個体数は当時の1/10程度になった可能性がある.今後,個体数をモニタリングするとともに,個体数を適切に管理するような方策をとる必要があるだろう.
著者
三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 = Japanese journal of ornithology (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.161-170, 2009-10-24
被引用文献数
2
著者
三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-18, 2019-04-23 (Released:2019-05-14)
参考文献数
151
被引用文献数
3

スズメ,ツバメをはじめとして,さまざまな鳥類が人工構造物に営巣をしている.これまで,この現象は,何か奇異な現象として捉えられることが多かった.しかし,都市の拡大とともに人工構造物の数は増加しており,都市において,鳥類が人工構造物に営巣することは,すでに日常的な景色となっている.そこで本稿では,日本において,どの種がどのような人工構造物を使って営巣しているかをまとめ,その上で,鳥が人工構造物に営巣していることを,どのような視点でとらえることができるか検討をした.鳥が人工構造物に営巣することは,ヒトと鳥との相互作用として捉えることができ,特に,ヒトの文化がどのように鳥類に影響を与えているか,と考えることができる.また,現代の都市の鳥類多様性は,人工構造物にかなりの部分,依拠している可能性も考えられる.鳥類が人工構造物を営巣することで,停電などヒトとの軋轢も生む.鳥類が人工構造物に営巣することで,ヒト,鳥類,それぞれにとって生じる利点と不利点を明らかにしつつ,それに対して人々がどのような価値観をもつのか,どのように対応していくべきなのか,総合的に考えていく必要がある.
著者
三上 修 森本 元
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-31, 2011-09-30 (Released:2013-09-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

A previous study has demonstrated that the population size of the Tree sparrow Passer montanus in Japan is declining. To confirm this, we examined reports on the number of tree sparrows banded in Japan from 1987 to 2008. If the population size of the tree sparrow is actually diminishing, then the numbers banded should also reflect this. Results showed that the number of tree sparrows banded over this period decreased by more than half, and support previous studies documenting the decline of the tree sparrow in Japan.
著者
三上 かつら 三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.227-236, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
37
被引用文献数
1

都市の生物多様性に対する関心は高まってきており,都市化を測る生き物として,鳥類はしばしば注目される.鳥類が都市の中のある場所において,どこをどのように使っているかという情報は,都市における生物多様性の創出や維持管理のために役立つだろう.都市には多様な環境が含まれており,特に小鳥類にとっては,数m離れた場所は,別の環境を意味することがあると考えられる.しかしながら,都市環境でそういった小さいスケールで特定の鳥類の環境利用を調べた研究例はほとんどない.そこで本研究では,岩手県内の住宅地において,冬期のスズメを対象に,住宅地にどのくらいいて,どのような場所を利用しているのかを調査した.特にスズメがなぜその環境を選んだか,に関わる要因として,季節性と営巣場所に着目した.群れの観察は2012年10月から2013年4月にかけて,営巣場所の探索は2012年と2013年の繁殖期に行った.厳冬期には,スズメの個体数が減り,群れは大きくなった.これはシーズンの進行がスズメの行動に影響することを示している.冬期のスズメの群れは,大部分が古巣または新巣から半径40 m以内でみられた.これは古巣をねぐらとして利用していることと,古巣の近くにまた翌年の巣をつくることが多いことから,スズメが営巣場所周辺に強い執着を持っているものと考えられる.また,餌がとれそうな未舗装の場所をよく利用していた.ただし,地形や構造物など他の要因もかかわっている可能性があり,採餌場所の選択については今後,検証が必要だと思われる.営巣場所への執着が強いことは間違いないと考えられるため,衛生や管理上の目的で,スズメが高頻度に利用する場所をコントロールしたいとき,巣箱の設置が有効である可能性がある.
著者
三上 修
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A1-A8, 2009
被引用文献数
1

近年,日本においてスズメ <i>Passer montanus</i> の個体数が減少している可能性が指摘されている.その減少要因について,いくつかの仮説が提示されているが,何が原因かわかっていないのが現状である.減少原因のひとつとして都市環境において,スズメの繁殖がうまくいっていないことが考えられる.そこで,都市部と農村部において,「幼鳥の比率」および,「ひとつがいが面倒をみている巣立ちヒナ数」を比較した.その結果,どちらの値も都市部において低く,予測した通り,スズメの繁殖は,都市部においてうまくいっていないことが示唆された.さらに,後者の値は,都市部において 1羽程度と少なく,都市部では,スズメの増殖率がマイナスになっている可能性も考えられた.都市での繁殖の不振が,スズメの個体数の減少の一要因になっているのかもしれない.