著者
夏 天
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.91-103, 2021-10-31 (Released:2021-11-17)
参考文献数
31

本研究は,家族における親の長期不在の形態の一つとして,中国における親の「外出労働」を取り上げ,(1)親の「外出労働」による不在は子どもの大学進学希望と関連するのか,(2)その関連はペアレンティング仮説によって説明されるのかを検討する.中国の全国調査データ「China Family Panel Studies(CFPS)2010」を分析した結果から,以下の知見が得られた.第1に,男子においてのみ,両親ともに不在の場合に本人の大学進学希望が顕著に低くなる傾向が示された.その傾向は主養育者が祖父母であること,男女で向社会的な規範の内面化度に差があることなどに起因すると考えられる.第2に,主養育者の教育的関与は,親の不在状況と独立に子どもの大学進学希望と正の関連を示したが,親の不在の負の効果を説明するペアレンティング仮説としての媒介効果は支持されなかった.

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J-STAGE Articles - 親の長期不在と子どもの大学進学希望――中国における「留守児童」世帯の子どもの分析から―― https://t.co/JbVeoyM3oD

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