著者
風間 孝
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.32-42, 2003-01-31 (Released:2010-02-04)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

本稿は, 同性婚の政治性を明らかにすることを目的とする。まず, 近代家族が異性愛規範に基づくことにより, 同性愛者を周縁化し, 家族を形成する機会を奪ってきたことを論じた。つぎに, 近代家族を批判する立場からの婚姻制度の解体が多様性の承認につながるという主張は, 権力関係の外部を前提にしていることを指摘した。最後に, 家族制度擁護論に基づく反対論の分析を通じて3つの点を指摘した。第1に婚姻の定義に基づく同性婚の拒絶は法が特定の定義を採用する恣意性を隠蔽することによって成り立っていること。第2に生殖に基づく拒絶は同性カップルが規範的異性愛家族およびジェンダーの (再) 生産につながらないことを理由としており, それゆえに同性婚の要求は家族と規範的異性愛とジェンダーの結びつきに異議申立てを行うものであること。第3に同性婚の要求は, 近代の特徴である異性愛規範に基づいた公/私二元論の枠組みを問題化するものであること。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (5 users, 6 posts, 0 favorites)

なお、生殖を伴うか否かという基準で異性間にのみ婚姻を認める論理の恣意性については2003年の時点で指摘されております……(風間孝,2003,「同性婚のポリティクス」『家族社会学研究』14(2): 32-42.) https://t.co/txLaeRPem8
https://t.co/CqU4MbDsbm 公私の区分けは異性愛規範に立脚しており、同性愛者は両方から疎外されてきた。これに対して家族制度の解体と家族形成の権利要求という二つの方向性があるが、解体の方針は(本来存在しない)権力関係の外部があるとの想定に基づき、具体的な課題を先送りにしていると指摘。
1 1 https://t.co/gZmlZKH9ro
ベトナムにおける同性婚について現地調査する予定なので、「同性婚のポリティクス」はPDFで読めるのはありがたい。 https://t.co/Mqme880hyh
ありがたい PDF 風間孝「同性婚のポリティクス」家族社会学研究 Vol. 14 (2002-2003) No. 2 P 32-42「本稿は, 同性婚の政治性を明らかにすることを目的とする。まず, 近代家族が異性愛規範に」https://t.co/Mqme880hyh

収集済み URL リスト