著者
羽根 文
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.27-39, 2006-07-31 (Released:2009-08-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

急速な少子高齢化に伴い, 高齢者の介護問題がさまざまな角度から取り上げられているが, 介護殺人・心中事件は最も悲劇性の高い問題のうちのひとつであるとされている。この事件の大きな特徴として, 加害者である介護者の圧倒的多数が男性であることが挙げられる。そこで本稿では, 介護者が夫と息子の事件について事例分析し, 事件からみえてくる家族介護の困難と, そこに作用するジェンダー要因をもとに, なぜ男性が事件へ追い込まれやすいのか考察した。夫・息子の介護者とも互酬性の規範やジェンダー規範などにより, 強く介護を動機づけると同時に周りに相談できない状況に陥っており, また, 男性介護者というだけで周囲から高評価されることも, 彼らをより介護に打ち込ませる要因となっている。このような状況で介護を継続困難にする要因が発生すると, 介護意欲をそがれることで目的を失い, 殺人・心中に至るリスクが高まってしまうのである。

言及状況

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1945年-2004年までの「介護殺人」の新聞記事の分析。加害者は男性,被害者は女性(加害者の妻や母)が多い。「かつて世話になった」という互恵性規範に基づいた介護。周囲を頼らず,また弱音を吐かない「男」のジェンダー規範の内面化が加害者にうかがわれる https://t.co/iw5aSnQhKS
これもそうだね  https://t.co/SqB0y8Zlcg 介護殺人・心中事件にみる家族介護の困難とジェンダー要因 ――介護者が夫・息子の事例から―― 羽根文 2006 ※ 今の若い子たちがこういう年齢に達する頃には家事スキルの性差ってやつは縮まっているか無くなっているか,だといいなと思う https://t.co/t0FwxNFUBS
@livedoornews 介護者の7割が女性なのに、介護殺人するのは圧倒的に男性。何故だろう? この論文によれば、 https://t.co/N8s6GTDveW 男性介護者は頼ることや相談ができず抱え込み精神的に孤立しやすい ことを理由として挙げてる。 だからと言って殺していい理由にはならないが。

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