著者
菅 裕
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.13-24, 2009 (Released:2017-08-08)
参考文献数
17

本研究の目的は, 経験年数の異なる吹奏楽指導者の演奏診断および演奏指導の方法, さらにその背後にある指導観の違いについて分析することにより, 演奏指導力の熟達化を特徴づける要因について考察することにある。中学生による吹奏楽合奏VTR視聴中の各指導者の内言発話および各指導者自身による合奏指導の内容のカテゴリー分析とPAC分析に基づくインタビューの結果, 経験年数が比較的短い4名の指導者が「正確な演奏の追求」を重視しているのに対し, 経験年数の最も長い指導者は, 楽曲構造についての演奏者の総合的な音楽理解を促進し, それに基づく自発的・積極的表現姿勢を引き出すことを重視していた。また経験年数が比較的短い指導者の中心的指導方法が「指示」であるのに対し, 経験年数の長い指導者の場合は「指示」の割合が相対的に低くなり「モデリング」「理論的説明」「メタファー」「質問」の使用頻度が高かった。

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