著者
小嶋 達矢 林 勇樹 菅 裕明
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.004-009, 2012 (Released:2012-01-31)
参考文献数
25

Genetic code reprogramming enables us to assign nonproteinogenic amino acids to codons in place of proteinogenic amino acids according to the genetic code, which allows us to express desired nonstandard peptides using an in vitro translation system. Here, we discuss FIT (Flexible In vitro Translation) system, which is a method that facilitates genetic code reprogramming by employing flexizymes. Furthermore, we also report a method called RaPID (Random non-standard Peptide Integrated Discovery) system, which is an integration of FIT system with an in-vitro mRNA display. RaPID system allows us to select peptides with high binding affinities from highly diverse nonstandard peptide libraries and is quickly becoming a valuable new tool for drug discovery.
著者
菅 裕
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部紀要. 芸術・保健体育・家政・技術 (ISSN:1345403X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-10, 2007-09-30

附属中学校で音楽科教育実習を行う学生とその指導教員に対してインタビュー調査を行い, 教育実習期間中に実習生が発見する課題や指導教員の実習生の評価についての発言内容を分析した。その結果, 音楽科実習生が実習中に抱える課題として「プログラム遂行型授業観の脱却」「統制的集団維持と受容的・親和的集団維持の総合的遂行」「生徒の演奏の診断と指導の手立ての案出」の3つが浮かび上がった。これらの課題は, いずれも音楽科教師が状況との対話の中で発揮する手続き的知識と深く関連していると考えられる。さらにこれらの課題は, 音楽の授業中に生起するさまざまな教師の意思決定場面において, 相互に密接に関連していると推測される。特に音楽的診断力と生徒とのコミュニケーション能力や集団調整能力の統合的発達は, 今後, 音楽科教員養成カリキュラムを再検討していく上で最も重要である。
著者
菅 裕
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.13-24, 2009 (Released:2017-08-08)
参考文献数
17

本研究の目的は, 経験年数の異なる吹奏楽指導者の演奏診断および演奏指導の方法, さらにその背後にある指導観の違いについて分析することにより, 演奏指導力の熟達化を特徴づける要因について考察することにある。中学生による吹奏楽合奏VTR視聴中の各指導者の内言発話および各指導者自身による合奏指導の内容のカテゴリー分析とPAC分析に基づくインタビューの結果, 経験年数が比較的短い4名の指導者が「正確な演奏の追求」を重視しているのに対し, 経験年数の最も長い指導者は, 楽曲構造についての演奏者の総合的な音楽理解を促進し, それに基づく自発的・積極的表現姿勢を引き出すことを重視していた。また経験年数が比較的短い指導者の中心的指導方法が「指示」であるのに対し, 経験年数の長い指導者の場合は「指示」の割合が相対的に低くなり「モデリング」「理論的説明」「メタファー」「質問」の使用頻度が高かった。
著者
黒木 直美 宮下 奈々 日野 義之 茅嶋 康太郎 藤野 善久 高田 幹夫 永田 智久 山瀧 一 櫻木 園子 菅 裕彦 森田 哲也 伊藤 昭好 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.49-59, 2009 (Released:2009-10-08)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

小規模事業場において良好実践を行っている事業者の産業保健ニーズに関する質的調査:黒木直美ほか.産業医科大学医学部公衆衛生学―本研究では,小規模事業場における事業者の産業保健ニーズあるいは良好実践の動機を把握することを目的とした.これまでの調査では小規模事業場における産業保健活動の遅れが報告されている.これらの知見は主に質問紙調査から得られたものである.しかし,小規模事業場には事業者の意識が直接反映されるという特徴があり,積極的に産業保健活動に取り組んでいる事業場も存在している.このような小規模事業場の良好実践例において,事業者のニーズを分析した研究はこれまでにない.産業保健に対する事業者の動機を明らかにすることは小規模事業場間に良好実践を水平展開する一助となると考えられる.そこで,我々は産業保健活動の良好実践が行われている小規模事業場10社の事業者と半構造化面接を行い,その逐語録をKJ法を用いた質的手法で分析した.その結果,事業者はもっぱら「よい会社」,「よい経営」を強く意識していることが明らかになった.「よい経営」のための要素には「人材確保」,「取引先の信用」,「社会的信用」,「社長自身の健康」という4つがあった.事業者はこれらの要素を達成するため職場の安全,従業員の健康に関する活動は当たり前であると考えていた.さらに,具体的な活動には「コストの問題」,「担当者の問題」,「時間がない」,「外部資源」という既知の制約があった.調査結果から,経営と安全衛生活動を関連づけることが小規模事業場における安全衛生活動の向上に寄与すると考えられた. (産衛誌2009; 51: 49-59)
著者
菅 裕明 仙石 徹
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2020-07-30

本特別推進研究計画では、これまで申請者が研究室を主宰してきた約20年にわたる「特殊ペプチド創薬」研究に区切りを付けるべく、やり残された挑戦的な研究に絞り目標を定め、それらを集大成させる。(1)細胞膜透過を有する特殊ペプチドの構造膜透過性相関検討による探索基盤の確立(2)環β-、環γ-、不飽和環アミノ酸含有特殊ペプチドライブラリーの翻訳合成と生理活性種探索(3)翻訳後酵素修飾された擬天然物ライブラリーの創製と生理活性種探索(4)特殊ペプチドおよび擬天然物の細胞膜透過性と小腸吸収性の研究上記の研究目標に沿って基礎および応用研究を進め、これまで解決できなかった命題に挑戦する。
著者
後藤 佑樹 井上 澄香 菅 裕明
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.662-667, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
11

ペプチド性天然物によく見られる非タンパク質性骨格をもったペプチドは、医薬品シーズとして高い利用価値を秘めている。本稿では、ペプチド性天然物の一種として知られるribosomally synthesized and post-translationally modified peptide(RiPP)の生合成経路を人工的に改変し、非タンパク質性骨格を含有した人工ペプチドを生産する方法論について概説する。
著者
大塚 俊昭 川田 智之 矢内 美雪 北川 裕子 菅 裕彦
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.78-78, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
10 13

一職域男性集団におけるメタボリックシンドロームの発症率およびメタボリックシンドローム発症に関連する生活習慣因子の検討:大塚俊昭ほか.日本医科大学衛生学・公衆衛生学講座―目的:メタボリックシンドローム(MetS)の予防は職域健康増進活動における主要課題の一つである.そこで今回,我々は一職域男性集団におけるMetSの発症率およびMetS発症に関連する生活習慣因子の検討を行った. 対象と方法:対象は,神奈川県内の精密機器開発事業所における2005年度定期健康診断を受診し,本邦におけるMetSの診断に非該当であった男性社員948名(平均44歳)である.対象者の2006年度から2009年度の定期健康診断データを追跡し,MetSの新規発症の有無を調査した.2005年度の健康診断結果から,対象集団を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子(血圧高値,脂質代謝異常,空腹時血糖高値)保有数の組み合わせで分類し,各群におけるMetS発症率を算出した.また,生活習慣因子(食事内容,喫煙,睡眠,運動,飲酒)の相違によるMetS発症率を比較した.コックス比例ハザードモデルを用い,上記各因子からMetS発症リスク上昇を規定する因子を求めた. 結果:平均3.7年の追跡において,76人にMetS新規発症を認めた.MetSの年間発症率は2.2/100人年,カプラン・マイヤー法による4年発症率は8.5%であった.対象を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子保有数の組み合わせで分類すると,腹部肥満を認めずその他の構成因子を二つ以上保有する群で最も高い発症率(37.9%)を示し,これに腹部肥満を認めその他の構成因子を一つ保有する群が続いた(24.6%).年齢で調整したコックス比例ハザードモデルでは,「腹部肥満の保有」および「その他の構成因子数の1増加」はともにMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した(5.23および4.79,ともに p<0.001).同様に,睡眠時間5時間以下,現在喫煙,およびエタノール摂取量300 g/週以上がMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した.結論:本検討においては,腹部肥満を有する者のみならず,腹部肥満を有さずともその他のMetS構成因子を複数認める者においてMetS発症率は高率であった.また,睡眠不足,喫煙,および過剰飲酒がMetS発症リスク上昇に関わっていた.職域におけるハイリスク・ストラテジーに基づいたMetS発症予防対策を行うにあたっては,これらの病状や生活習慣を有する者を優先した活動の有用性が期待される. (産衛誌2011; 53: 78-86)
著者
菅 裕
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.65-74, 2000-03-31

本研究では,音楽教師の信念が内面においてどのような構造を有しているか,また,そのことが授業の流れや児童にどのような影響を及ぼしているか,について現象学的に考察することを目的とし,福島大学附属小学校の山本浩教諭による音楽授業への参与観察と授業後の教師へのインタビューの分析を行っている。その結果,1.表現のネットワークとしての音楽体験をとおして,児童の音楽的価値観を広げていくために,2.教師は徹底して状況に即応する支援者の立場に立ち,3.授業を音をとおしたコミュニケーションの場としていくことを重視する,山本教諭の信念の構造が明らかになった。この構造は,全体として一貫性をもっており,それに基づく安定した授業運営の結果,児童は,合奏活動を教師の手を借りずに組織するようになり,自分たちの演奏を昼休みのフリーコンサートとして校内で積極的に発表するまでに成長した。同時に,山本教諭が「担任としての役割」と「音楽教師としての役割」と間の葛藤を内面に抱えていることも明らかになった。
著者
菅 裕
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13478788)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.153-167, 2012-03-31

吹奏楽, 声楽, ピアノ, フルートの4名の熟練指導者に対して, 演奏表現に関する指導に焦点を当て, PAC分析に基づくインタビューを実施するとともに, レッスンまたは合奏指導場面をVTRに録画し, 指導内容及び指導方法についてカテゴリー分析を行った。その結果, 演奏表現指導において「適切な」あるいは「正しい」知識や技能を習得させることを重視する指導者は, 単純な指示・評価または近似値型隠喩的指導が比較的多く用いているのに対し, 生徒自身の理解に基づく主体的な表現を重視する指導者は, 想像型隠喩的指導を多く用いる傾向が見られた。This research focused on strategies for teaching musical expression used by four expert instructors of a symphonic band, vocal music, piano, and flute. I interviewed them based on PAC analysis, videotaped their instruction and made a category analysis of their contents and method of teaching musical expression. In the result, the instructors who value to make students acquire adequate or right knowledge and skill tend to use simple prescription, simple feedback and approximating type of metaphor. The instructors who value students' independent minded musical expression based on their understanding of music tend to use imaginary type of metaphor.
著者
山口 淳 加藤 敬行 菅 裕明
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.584-592, 2011-11-30 (Released:2012-02-29)
参考文献数
29

新たな創薬の基盤技術として,我々は1013を超える多様性の擬天然特殊ペプチドライブラリーの構築を可能とするFIT(Flexible In-vitro Translation)システムと,生理活性を有した特殊ペプチドの迅速な探索を実現したRaPID(Random non-standard Peptides Integrated Discovery)システムを開発した.本稿ではこれら新規基盤技術の紹介と共に,特殊ペプチド創薬におけるDDSとの連携の重要性についても言及する.