著者
南 雅文
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.910-915, 2017 (Released:2017-09-01)
参考文献数
12

ヒトを含む哺乳類は, 危険な場所や時間帯において, また, 疾患や傷害を患った際に, 自らの行動を抑制し周囲に対する警戒を高めることで身を守る生体防御システムとして, 抑うつや不安などの陰性情動生成機構を獲得・進化させてきたと考えられる. したがって, うつ病や不安障害, 心身症のメカニズムを理解するためには, 生体防御システムとしての陰性情動生成機構を明らかにしたうえで, 患者や病態モデル動物における神経機構の変化を解析することが必要である. 筆者らは, 分界条床核と呼ばれる脳部位に着目して研究を進め, CRFやノルアドレナリンによる分界条床核2型神経細胞活性化が, 3本のGABA神経を介して腹側被蓋野ドパミン神経を抑制することで痛みによる陰性情動を生成する可能性を示してきた. 分界条床核を起点とする神経回路が, 痛みによる陰性情動とうつ病などの精神疾患, さらには, 心身症に共通する神経基盤として重要である可能性が考えられる.

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