- 著者
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渡辺 俊之
- 出版者
- 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
- 雑誌
- The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.193-197, 2018-03-16 (Released:2018-04-20)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
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転換性障害は,心理的葛藤,喪失体験,過剰なストレス,トラウマといった心理的要因に伴う情動が身体症状に転換される疾患である.身体には原因を探すことができない随意運動機能障害や感覚機能の異常が生ずる.転換性障害患者は,麻痺や感覚異常のような症状をもつことで何らかの「利」を得ることがある.これが疾病利得と呼ばれる.なぜ身体症状をもたねばならなかったのか? 身体症状を持続させている外的要因は何か? こうした心理的背景の理解がリハビリテーション科医には必要になる.こうした心理的背景を理解したうえで,患者と一緒に「未来」を語ることが必要である.運動療法を続け歩けるようになれば,充実した生活が待っているという感覚になれれば,症状は改善していくに違いない.