5 0 0 0 OA 転換性障害

著者
渡辺 俊之
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.193-197, 2018-03-16 (Released:2018-04-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

転換性障害は,心理的葛藤,喪失体験,過剰なストレス,トラウマといった心理的要因に伴う情動が身体症状に転換される疾患である.身体には原因を探すことができない随意運動機能障害や感覚機能の異常が生ずる.転換性障害患者は,麻痺や感覚異常のような症状をもつことで何らかの「利」を得ることがある.これが疾病利得と呼ばれる.なぜ身体症状をもたねばならなかったのか? 身体症状を持続させている外的要因は何か? こうした心理的背景の理解がリハビリテーション科医には必要になる.こうした心理的背景を理解したうえで,患者と一緒に「未来」を語ることが必要である.運動療法を続け歩けるようになれば,充実した生活が待っているという感覚になれれば,症状は改善していくに違いない.
著者
柿原 知 佐々木 愼 寺井 恵美 渡辺 俊之
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1457-1461, 2014-12-31 (Released:2015-04-02)
参考文献数
14

症例は65歳,男性。間欠的な腹痛と発熱を認め,腹痛が徐々に増悪したため当院救急搬送された。来院時の血液生化学検査で白血球とCRPが上昇しており,腹部造影CT検査でS状結腸に50mm長の緩やかに弯曲する細径の高輝度領域と腸管外ガスを認めた。魚骨によるS状結腸穿孔を疑い,緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸腸間膜側から魚骨が突出しており,後腹膜も一部損傷していた。S状結腸部分切除とS状結腸にて人工肛門造設術(ハルトマン手術)を施行した。摘出した魚骨の長さは57mmであった。誤嚥された異物のほとんどは自然排泄されるため,消化管穿孔や穿通により腹膜炎を発症することや,腹腔内膿瘍を形成する確率はまれであると報告がある。異物の割合は日本人では食生活の影響などから魚骨が50%近くを占める。今回のように50mm超える魚骨が誤嚥の認識なく,穿孔による症状で発見された症例は極めてまれである。
著者
渡辺 俊之 秋口 一郎 八木 秀雄 秋口 一郎 高山 吉弘
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.158-163, 2002 (Released:2011-07-05)
参考文献数
20

レンズ核は淡蒼球と被殻からなるが、この両者のみに限局した病変では、言語障害は軽度または一過性である。言語障害が遷延するのは、病変が、前頭葉の深部白質に進展して非流暢性の失語像を呈する場合、後方の側頭葉深部白質に及んで理解障害を伴う流暢性失語像となる場合、あるいは病変が双方の白質を含んで全失語をきたす場合である。一方、レンズ核の外方には、外包、前障、最外包および島皮質が位置する。これらの脳組織が言語機能においていかなる役割を担っているかについては、近代失語症学の黎明期から議論されてきたが、限局性の病変例がまれなこともあって、一致した見解は得られていない。なかでも、島およびその皮質下の損傷で伝導失語をきたすというDamasio and Damasio(1980)の主張は、失語症関連の文献において頻繁に引用され、影響力が大きいしかし、我々の経験した島損傷例では、伝導失語を含め遷延する言語障害は認めなかった。ただし、語想起の障害がみられたことから、島およびその皮質下の組織が遂行機能に関与することが示唆される。