著者
佐野 武
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.10, pp.1771-1778, 2019 (Released:2020-04-30)
参考文献数
10

胃癌手術は1881年Billrothによる幽門側胃切除術の成功例に始まり,その弟子のMikuliczによるリンパ節郭清の体系化を受けて,切除・郭清範囲が拡大した.我が国では胃癌研究会による全国胃癌登録の膨大なデータ解析を経てD2郭清手技が確立し,更なる拡大郭清へと進んだが,欧米では乳癌に対するランダム化比較試験(RCT)の結果に基づく腫瘍学的思考が胃癌治療にも及び,リンパ節郭清の役割は治療よりむしろステージ診断であるとの考えが浸透した.1980年代以降,胃癌手術のRCTが欧州と日本で展開され,「経験を積んだ外科医による膵脾合併切除を伴わないD2リンパ節郭清(それ以上でも以下でもない)」が,早期癌を除く胃癌に対して推奨される術式となっている.2000年代に入ってからは化学療法の発展に伴い補助療法のエビデンスが次々と生まれ,外科医は集学的治療における手術の役割を認識しつつ過不足のない胃切除術を安全に行うことが求められるようになっている.

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@dramerica88 これのDutch study かなぁ。わたしの記憶は誇張されてたかも

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