著者
小松 弘明 泉 信博 月岡 卓馬 岡田 諭志 戸田 道仁 原 幹太朗 伊藤 龍一 西山 典利
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.130-133, 2018-03-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
13

背景.肺切除後のステープルラインに発生した腫瘤の鑑別としては,局所再発以外に異物肉芽腫や感染による腫瘤形成が挙げられる.症例.74歳女性.68歳時に,S状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行.72歳時に,左肺転移に対し左肺舌区部分切除術を施行.74歳時に,右肺転移に対し右肺上葉部分切除術を施行.右肺切除術後3か月目に,胸部CTで左肺舌区部分切除部のステープルラインに右肺手術時には認められなかった24 mm大の腫瘤が急速に増大し,同部位にFDG-PET検査で異常集積を認めた(SUV max:5.11).診断と治療を兼ねて左肺舌区域切除術を施行した.病理診断は乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫で,切除標本の培養およびPCRでMycobacterium aviumが同定された.右肺術後3か月の間に左肺ステープルラインで急速に腫瘤が増大しており,右肺手術時の人工呼吸器管理/分離肺換気による気道クリアランスの低下が左肺の非結核性抗酸菌感染の顕在化につながったと考えた.結語.ステープルラインに発生した腫瘤の診断は難しく,悪性が否定できない場合は診断と治療を兼ねて切除を検討すべきと考える.

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