著者
佐藤 寛子 羽山 伸一 高橋 公正
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.81-86, 2007 (Released:2018-05-04)
参考文献数
22

ダイオキシン類は,実験動物あるいは野生生物が暴露した場合,甲状腺の機能や形態に影響を及ぼす。今回我々は野生ニホンザル(Macaca fuscata)の甲状腺におけるダイオキシン類の影響について報告する。野生サルはヒトの居住地の周辺で生活しており,生物分類学的にヒトに最も近い動物種である。野生サルの脂肪組織,肝臓,骨格筋からダイオキシン類(PCDDs,PCDFs,Co-PCBs)の残留濃度を分析した。また,甲状腺については病理組織学的に検索し,画像解析を用いて濾胞上皮細胞の肥大を定量的に評価した。PCDDs,PCDFs,Co-PCBsの残留濃度はいずれも0.2〜26pgTEQ/g-fatの範囲だった。病理組織学的検索において,TEQに関連した甲状腺の変化は認められなかった。さらに,濾胞の数や濾胞上皮細胞の大きさにもTEQに関連した変化は認められなかった。このように,野生ニホンザルは自然環境からダイオキシン類に暴露されてはいたが,検出されたレベルでは甲状腺の機能や形態に影響を及ぼさなかったと考えられた。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (3 users, 5 posts, 2 favorites)

甲状腺がんがあってもおかしくないようなところまでは行ってますねえ 野生の猿 https://t.co/nlpj34jiyL 本研究において,捕獲野生ニホンザルにはダイオキシン類TEQに関連した甲状腺の組織形態学的変化が認められなかった ありそうでない.しかし ヒトは野生サルより深刻な汚染を受けている可能性がある
論文はこちら https://t.co/nlpj34jiyL 先進工 業 国におけ るダイオキ シ ン 類の 人体 内蓄積量 は 4 〜12ngTEQ /kg bodyweight と予測されて い る [19]。 食性や体脂肪量の 違 い も考慮 して ,これ は野生サル 体 内蓄積量よ りも明 らかに 多い 量で ある と予 想 され る。
@Anti_Jigokudama サルが甲状腺がんにかかることがあるのかという私の疑問に,日獣大は答えてくれた. 聞いたわけではありませんが https://t.co/nlpj3419kD ダイオキシンのケースですが 野生ニホンザルは自然環境からダイオキシン類に暴露されてはいたが,検出されたレベルでは甲状腺の機能や形態に影響を及ぼさなかったと

収集済み URL リスト