著者
パテントドキュメンテーション委員会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.231, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)

「AIを用いた特許検索」を掲げて「KIBIT」が登場して大きな話題を呼んだのが2015年のことでした。それ以降,様々な検索システムがAIを前面に打ち出した拡張機能を搭載しており,今日ではAIを使った特許検索や特許分析,IPランドスケープ作成等を日常の調査業務に取り入れておられる方も少なくないことと推察いたします。重ねてAI技術の発展は自動翻訳や自動分類などの技術にも波及し,これらの技術が特許調査の領域でも使われ始めていることはご承知の通りです。化合物調査の分野でも,従来のように人の手により化合物構造式を索引してデータベース化するのではなく,AIが自動的に特許全文から化合物名称や構造式を取り込んで索引を作成する手法が提案され,実装が進んでおります。これらAI技術を核とした様々な機能の追加により,特許調査実務はまさに今,転換点を迎えていると言っても過言ではないと思います。本特集号は,これらの新しい手法に関する基本的知識や使用に際して留意すべきことをまとめて,特許調査に関わる皆様のお役に立てればという思いで企画しました。また,新しい調査・解析手法を日々研究しているエンドユーザー協議会様の研究成果の一端を紹介することで,最新の検索技術に対する知見を深めていただくことも企図しております。最初にAI自動翻訳の第一人者でおられる国立研究開発法人情報通信研究機構フェローの隅田英一郎氏に,自動翻訳の基本と同時通訳への適用を見据えた今後の展開について,初心者にもわかりやすく解説していただきました。第二稿は一般財団法人日本特許情報機構の長部喜幸氏に,中国特許のAI翻訳と自動分類についてSDGs特許を分類した実例を挙げてご紹介いただきました。第三稿は,アジア特許情報研究会の安藤俊幸氏に,AIを用いる特許調査と概念検索の利用に際する留意点をご提案いただきました。第四稿はデータベース提供の立場から世界知的所有権機関(WIPO)の坪内優佳氏に,WIPOが公開している「PATENTSCOPE」について解説いただいております。第五稿は日本アグケム情報協議会の大島優香氏に,第六稿は日本FARMDOC協議会の小島史照氏に,それぞれの協議会がユーザー視点で取り組まれた化合物検索システムの研究成果をご紹介いただきました。なお,化合物検索については各稿で取り上げた以外にも各種システムがありますが,今回は事例紹介の位置づけですので,全ての検索システムに言及してはおりませんことをご承知おきください。最終稿は日本EPI協議会の田中厚子氏に,IPランドスケープの事例として協議会での研究事例をご紹介いただいております。いずれの論文も読み応えがあり示唆に富んだものとなっております。皆様の日々の調査実務のご参考になれば幸甚です。INFOSTAパテントドキュメンテーション委員会

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会誌「情報の科学と技術」2022年7月号 特集:「特許調査を取り巻く技術の進展」の編集にあたって …パテントドキュメンテーション委員会 https://t.co/bH1St8A9XZ

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