著者
涌田 幸宏
出版者
経営哲学学会
雑誌
経営哲学 (ISSN:18843476)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.115-127, 2022-01-31 (Released:2022-04-08)
参考文献数
30

サステナビリティを主導する企業家、ないしサステナブルな企業家とは、社会的価値、環境的・生態系的価値、経済的価値を同時に追求する企業家である。2015年、国連でSDGsが採択されて以来、サステナブルな企業家活動に関する論文が多数発表されているが、その研究は端緒についたばかりである。本論文は、サステナブルな企業家活動に関する研究をレビューし、今後の研究に向けた指針を探ることを目的とする。具体的には、特に事業創造プロセスの観点から制度的多元性におけるビジネスモデルの構築について議論する。サステナブルな企業が追求するトリプルボトムラインの価値は、しばしば矛盾し対立する。そのため、企業家は制度的多元性のコンフリクトに直面することになる。本論文では、サステナブルな企業家は、どのようにロジック間の競合を解消し、ビジネスモデルの構築と刷新を行っていくのかについて考察する。そして、異質な価値への段階的・逐次的な対応とビジネスモデルの変化を説明し、資源としてのビジネスモデル、価値主導的なビジネスモデルの組み替えという視点を提示する。最後に、今後のサステナブルな企業家活動研究の課題を示唆する。

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