著者
古屋 晋一
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1-2, pp.10-14, 2019-06-05 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26

音楽演奏に見られる巧緻な運動は,幼少期からの訓練によって獲得される技能である.しかし,膨大な訓練を経てもなお,演奏技能の個人差は大きく,さらには訓練の過程で局所性ジストニア等の脳神経疾患を発症し,技能を喪失することも少なくない.そのため,熟達支援と故障予防の両方の観点から,訓練の量よりも質,すなわち適切な訓練とその機序の理解が求められる.本稿は,脳神経系が筋骨格系の持つ多数の自由度(筋や関節)を協調して制御する仕組みに着眼を置き,このような身体運動の協調構造が演奏技能の洗練や喪失に伴い,どのように変化するのか,さらには協調構造の変容が演奏技能とどのように関わっているかについて,神経生理学実験と数理手法を組み合わせた近年の研究成果を中心に概説する.

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