著者
八田原 慎悟 藤井 叙人 古屋 晋一 風井浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2782-2795, 2009-12-15

脳活動とテレビゲームの関係に注目した関連研究の多くで,テレビゲーム実施時の前頭前野活動の低下が報告されてきた.しかし,これらはゲーム初中級者を対象としたものに限られ,熟達者の脳活動の活動様相および熟達にともなう変化については未解明の点が多い.本研究では2名の熟達者が「未熟達のゲーム」に訓練を重ねて熟達していく過程で脳活動にどのような変化が起こるのかを運動技能とあわせて検討を行った.その結果,当該熟達者の前頭前野活動は,学習初期に上昇し,学習中期には低下し,学習後期には再び上昇するというU-shapeを示した.
著者
古屋 晋一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.168-175, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
41
被引用文献数
1

楽器演奏者は,反復性の高い動作を,長時間に渡って行うことが求められる.そのため,演奏時の筋肉の疲労によるパ フォーマンスの低下や,楽器演奏による身体の故障発症といった問題は,古今東西を問わず,多くの演奏者を悩ませてきた.これらの問題と密接に関係する,演奏時の筋収縮についての理解を深めることは,楽器演奏者が生涯に渡り,健やかな演奏活動を行う上で不可欠である.本稿では,楽器演奏のパフォーマンスを阻害しうる筋収縮を引き起こす要因について,バイオメカニクスおよびモーターコントロールの観点から概説する.
著者
藤澤 隆史 松井 淑恵 風井浩志 古屋 晋一 片寄 晴弘
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.764-770, 2009-08-15

本稿では,「ヒトは音楽をどのように感じているのか」という観点から脳機能の計測方法およびその実験デザインついて解説する.まず,脳において音楽がどのように認知されているかについて,「音楽の脳機能局在」の観点からその関連部位について概観する.次に,脳機能の計測において用いられている代表的な装置とその諸特徴を紹介し,有効な計測信号を得るための実験デザインについて解説する.最後に研究例を3つ紹介し,音楽認知研究における脳機能計測の有効性を示す.これらの例が示す脳機能計測の有効性は,ユーザが楽しめる音楽インタフェースを開発する上で,音楽を聴取する脳の働きや脳機能計測法に対する正しい理解を深めることが一層重要となることを示唆している.
著者
八田原 慎悟 藤井 叙人 古屋 晋一 風井浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2782-2795, 2009-12-15

脳活動とテレビゲームの関係に注目した関連研究の多くで,テレビゲーム実施時の前頭前野活動の低下が報告されてきた.しかし,これらはゲーム初中級者を対象としたものに限られ,熟達者の脳活動の活動様相および熟達にともなう変化については未解明の点が多い.本研究では2名の熟達者が「未熟達のゲーム」に訓練を重ねて熟達していく過程で脳活動にどのような変化が起こるのかを運動技能とあわせて検討を行った.その結果,当該熟達者の前頭前野活動は,学習初期に上昇し,学習中期には低下し,学習後期には再び上昇するというU-shapeを示した.Previous studies have focused on the relation between playing video games and brain activity. Most of these studies have reported that the prefrontal cortex shows decrease in its activity during playing video games. However, it seems reasonable to assume that the effect of playing games on the brain activity is dependent on the player's mastery level. As an initial step to address this issue, we examined brain activity at the prefrontal cortex while two top-level game players ("masters") were learning to master video games using functional near-infrared spectroscopy (fNIRS). Results demonstrated that their prefrontal activity during playing the game varied with the stage of learning; it increased at the early stage of learning, then decreased, and increased again at the later stage. These findings imply that prefrontal activity during playing the game might change in relation to learning stage and expertise, presumably which would provide implication for designing and programming a novel video game.
著者
古屋 晋一
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1-2, pp.10-14, 2019-06-05 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26

音楽演奏に見られる巧緻な運動は,幼少期からの訓練によって獲得される技能である.しかし,膨大な訓練を経てもなお,演奏技能の個人差は大きく,さらには訓練の過程で局所性ジストニア等の脳神経疾患を発症し,技能を喪失することも少なくない.そのため,熟達支援と故障予防の両方の観点から,訓練の量よりも質,すなわち適切な訓練とその機序の理解が求められる.本稿は,脳神経系が筋骨格系の持つ多数の自由度(筋や関節)を協調して制御する仕組みに着眼を置き,このような身体運動の協調構造が演奏技能の洗練や喪失に伴い,どのように変化するのか,さらには協調構造の変容が演奏技能とどのように関わっているかについて,神経生理学実験と数理手法を組み合わせた近年の研究成果を中心に概説する.
著者
古屋 晋一 青木 朋子 木下 博
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.151-155, 2006 (Released:2008-06-06)
参考文献数
14
被引用文献数
7 4

本研究は熟練ピアニスト(N=8)が連続オクターブ打鍵動作をする際の音量と打鍵テンポが上肢運動制御に及ぼす影響について調べた.全ての音量と打鍵テンポで,指先と鍵盤が接触する瞬間の上肢関節角度は不変であった。音量と打鍵テンポが上肢の運動に及ぼす影響は,それぞれ異なっていた.即ち,より大きな音量の音を作り出す際には近位の身体部位がより多く打鍵動作に用いられたのに対し,より速いテンポで打鍵する際には近位の運動は減少した.したがって我々は,音量調節は「インパルス方略」によって,打鍵テンポ調節は「慣性モーメント方略」によってなされていると提唱した.音量と打鍵打鍵テンポを同時に制御する場合には,ピアニストは主に肘の動きによって打鍵動作を行うという,上記2つの方略の中間の方法を選択することが明らかとなった.
著者
藤澤 隆史 松井 淑恵 風井浩志 古屋 晋一 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.764-770, 2009-08-15
参考文献数
6

本稿では,「ヒトは音楽をどのように感じているのか」という観点から脳機能の計測方法およびその実験デザインついて解説する.まず,脳において音楽がどのように認知されているかについて,「音楽の脳機能局在」の観点からその関連部位について概観する.次に,脳機能の計測において用いられている代表的な装置とその諸特徴を紹介し,有効な計測信号を得るための実験デザインについて解説する.最後に研究例を3つ紹介し,音楽認知研究における脳機能計測の有効性を示す.これらの例が示す脳機能計測の有効性は,ユーザが楽しめる音楽インタフェースを開発する上で,音楽を聴取する脳の働きや脳機能計測法に対する正しい理解を深めることが一層重要となることを示唆している.
著者
古屋 晋一 片寄 晴弘 木下 博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.SKL-01, pp.04, 2008-09-16 (Released:2021-08-31)

重力を利用して打鍵する「重量奏法」は、百年以上の間、ピアノ打鍵動作における熟練技能であると考えられてきた。本研究では、逆動力学計算と筋電図解析により、重量奏法が一流ピアニストのみが用いる運動技能であることを、世界で初めて実証することに成功した。
著者
片寄 晴弘 橋田 光代 小川 容子 古屋 晋一
出版者
関西学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

名演奏に心打たれるという体験をした人は少なくないであろう。しかしながら、その理由、メカニズムについてはほとんどわかっていない。本研究では、コンテスト優勝者クラスのピアニストの協力のもと、世界最高峰の制度を持つセンサを用い、タッチまで含めたピアノ演奏(ポリフォニー)の演奏制御情報を計測する。あわせて、普段、必ずしも意識下に上がってこないレベルのものも含めて演奏者が解するポリフォニーレベルでの音楽構造の徹底的な聞き取りを実施する。得られた演奏制御情報と音楽構造の関係について、最新の数理解析手法を用いて分析し、ピアニストが演奏表現にこめた感動のデザインについて探っていく。
著者
古屋 晋一 片寄 晴弘 木下 博 FURUYA Shinichi KATAYOSE Haruhiro KINOSHITA Hiroshi
雑誌
SIG-SKL = SIG-SKL
巻号頁・発行日
vol.01, no.04, pp.17-24, 2008-09-16

重力を利用して打鍵する「重量奏法」は、百年以上の間、ピアノ打鍵動作における熟練技能であると考えられてきた。本研究では、逆動力学計算と筋電図解析により、重量奏法が一流ピアニストのみが用いる運動技能であることを、世界で初めて実証することに成功した。
著者
古屋 晋一
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,ピアニストとピアノ初心者の打鍵動作における上肢関節の動力学特性の違いについて調べた.ピアニスト7名と同数の初心者にスタッカートでのオクターブ打鍵を行なってもらい,その際の上肢の運動を高速カメラおよび表面筋電図によって記録した.逆動力学計算により,肩,肘,手首,指関節に生じる筋力依存性のトルク,運動依存性のトルク,重力依存性のトルクを算出した.その結果,ピアニストは初心者に比べて肘と手首により大きな運動依存性トルクを作り出し,筋トルクを軽減していた.さらに,肘の筋トルクを生成する際,ピアニストは重力に抗する筋である上腕二頭筋を弛緩させていたのに対し,初心者は上腕三頭筋を収縮させていた.したがって,ピアニストは長期的な訓練を通して,筋力以外の力を利用することで打鍵時の筋肉の仕事量を軽減する運動技能を獲得していることが示唆された.
著者
中村 あゆみ 古屋 晋一 合田 竜志 巳波 弘佳 長田 典子
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.840-845, 2013 (Released:2013-10-16)
参考文献数
11

The purpose of the present study was to assess effects of daily piano practice on speed and accuracy. When they were asked to play the trained tone sequence as fast and accurately as possible, the maximum rate of keystrokes increased after the practice, indicating enhancement of finger movement speed. This was also the case when playing an untrained tone sequence with the left hand and untrained right hand as fast as possible. A retention test, being performed two months after the final practice session, revealed no apparent deterioration of the hand motor functions, suggesting robustness of motor memory acquired through the piano practice. Finally, provision of visual feedback regarding rhythmic accuracy of keystrokes facilitated the movement accuracy, which implicates a potential of the augmented feedback for improving piano performance.