- 著者
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羽鳥 剛史
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.991-996, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
3
本研究では、地域コミュニティにおける「離脱」と「発言」という地域住民の持ち得る2つの行動手段に着目し、ハーシュマンの理論を基に、これらの行動手段の間の関連について実証的に検討することとした。さらに、地域住民の離脱を緩和し、発言を促進する機会として、地域経験に関する「記憶」の役割に着目し、地域経験に関わる記憶の想起が離脱と発言に及ぼす影響を検討することを目的とした。この目的の下、松山市在住の市民145名を対象に質問紙調査を用いた実験を行った。その結果、離脱と発言との間に相互代替的な関係が成立する可能性が示された。また、地域経験の記憶の想起が地域住民の発言傾向を促進する効果を持つ可能性が示された。最後に、本研究の知見が地域計画に示唆する点について検討した。