著者
井上 猛
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.20-28, 2018-10-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
29
被引用文献数
2

1999年に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が本邦臨床に導入されて,不安症の治療および病態の理解は大きく進歩した。選択性が強く,セロトニン再取り込み阻害作用以外の作用機序をもたないSSRIが不安症治療に有効であることから,脳内で細胞外セロトニン濃度を増やすことが,直接不安症の症状を改善させるということができる。さらに,不安・恐怖の神経回路が1993年以降に詳細に解明されたことを契機に,SSRIが扁桃体に作用し,その神経機能を抑制することにより抗不安作用をもたらすこと,その作用は5-HT1A受容体への刺激を介していることが動物実験で明らかになった。これらの動物実験から得られた仮説はfMRIを使ったヒトの画像研究でも支持されている。SSRIの作用機序解明により,不安症の病態と治療を神経回路,神経伝達物質の観点から不安症の病態を理解し,新規治療法を開発することが将来可能になることが期待される。

言及状況

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井上猛(2018). 不安症治療におけるSSRIの作用機序の神経科学的理解 不安症研究 10, 20-28. https://t.co/mBf3DxwxWy

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