- 著者
-
吉村 玲児
- 出版者
- 日本生物学的精神医学会
- 雑誌
- 日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.2, pp.83-87, 2011 (Released:2017-02-16)
- 参考文献数
- 26
うつ病の脳由来神経栄養因子(BDNF)の血中動態について概説した。うつ病・うつ状態では,脳でのBDNF産生および血小板からのBDNF分泌が低下しており,これが血中(血清および血漿) BDNF低下として反映されると考えられる。血清BDNF濃度の低下とうつ病重症度(ハミルトンうつ病評価尺度17項目得点)とは相関していた。血中BDNF動態はうつ病・うつ状態のバイオマーカ ーとして有用であるが,特異度に問題がある。Long-term depression やアポトーシスとの関連が指摘されているproBDNFも合わせて測定することで,BDNFのバイオマーカーとしての有用性が高まる可能性がある。