著者
國井 泰人
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.163-167, 2019 (Released:2020-03-30)
参考文献数
14

近年,ゲノムワイド関連解析,次世代シークエンシング技術の発展により,統合失調症のリスクに関連する遺伝子領域やde novo変異が同定されるなどの大きな進展がみられたものの,統合失調症や他の精神疾患の根底にある正確な分子メカニズムは明らかにされていない。転写レベルの変化,エピジェネティック修飾およびde novo変異などの脳特異的ゲノム多型を考慮すると,ヒト脳組織の研究は,統合失調症または双極性障害の分子病態を理解するために不可欠である。筆者らは約20年前から精神疾患に関する死後脳バンクを運営し,「ジェネティックニューロパソロジー」を適用した死後脳研究で,統合失調症の分子メカニズムに対する新規の知見を得ている。本稿では,精神疾患における死後脳研究の最新の知見をジェネティックニューロパソロジーに焦点を当てて紹介するとともに,当バンクの死後脳試料を用いた共同研究の結果を報告する。

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