著者
髙橋 摩理 内海 明美 大岡 貴史 向井 美惠
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.284-291, 2011-12-31 (Released:2020-06-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

地域療育センターを利用している自閉症スペクトラム障害(以下,ASD)と診断された小児のうち,研究協力の同意が得られた小児とその保護者338 名を対象にアンケートを行った.アンケートの調査項目は,食事時における問題行動の有無,食べ方の問題の有無,感覚偏倚の有無,嫌がる行為の有無,である.アンケートの質問項目について,年齢および発達レベルとの関連,食事時における問題行動の有無・食べ方の問題の有無と感覚偏倚との関連の検討を行った.食事時の問題行動として「立ち歩く」「ガタガタさせる」,食べ方では「1 品食べ」「詰め込み」「丸飲み」が多くみられた.食事時の問題行動は発達レベルとの関連がみられ,年齢に応じて問題が自然に軽減・消失することが困難であると推察された.感覚偏倚は「嫌がる触覚がある」「好きな触覚がある」「嫌いな音がある」が30% 以上にみられたが,年齢や発達レベルとの間に一定の傾向はなかった.嫌がる行為は8,9 歳群,正常群に少なく,過去はあったが現在はない「過去あり」の占める割合が多いことから,成長により改善できる項目と推察できた.食事における問題と感覚偏倚の間に多くの関連がみられ,感覚偏倚の軽減が重要であるが,対応は困難と思われる.嫌がる行為が改善している様子がうかがわれたことから,感覚偏倚というASD の特性はありながら,食事時を含む日常生活上の問題を改善できる可能性があると推察された.そのためには,全体的な発達を促す対応が重要と思われた.

言及状況

外部データベース (DOI)

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@jn4mlpi 発達障害がらみの論文は食事の状態傾向くらいしかありませんでした。 論文が存在しないということは、そもそもまだ世界に認められる研究結果として発表されていないということです。 以下リンクは発達障害の方(ASD)の食事状況に関する論文になっています。 https://t.co/B7URDXsbE8… https://t.co/F4bm8pJ9Hp
自閉症スペクトラムの子たちはご飯のときに詰め込んじゃったりとかよく噛まないで飲み込んじゃうとかの問題はあるみたい https://t.co/hcRTDWMIxs

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