著者
中村 優理菜 梶原 健吾 矢野 裕子 松下 昂樹 吉井 隆一 中村 朋文 富田 正郎 木下 博之 向山 政志
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.177-181, 2023 (Released:2023-05-28)
参考文献数
8

症例は,90歳女性.1年間でCre 1.97 mg/dLから3.86 mg/dLまで増悪する腎機能障害を認め,呼吸苦や胸水貯留も認めたため,透析導入も含め精査加療目的に当院救急搬送となった.入院後精査の結果,粘液水腫昏睡が診断され,持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)とともに甲状腺ホルモン補充を行った.全身状態および腎機能は改善を認め,通常の血液透析(HD)に移行,その後HDも離脱した.甲状腺機能低下症は腎機能障害の原因としては頻度が低いが,速やかな介入によって腎機能は改善するとされている.今回のように腎機能障害の原因検索の際には,甲状腺機能低下症を鑑別にあげて,ホルモン値の測定などの精査を行うべきであると考えられた.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (29 users, 29 posts, 76 favorites)

透析医学会雑誌より 甲状腺機能低下症が腎不全の原因であったという稀な症例で、さらに甲状腺ホルモンの補充によって透析からも離脱できたという報告。甲状腺ホルモンはRAS系の亢進・腎血流の増加などに関わっており、欠乏するとこれらの作用が低下しGFRが低下するらしい。 https://t.co/j6qypfiewY https://t.co/iHMKJxs0pt

収集済み URL リスト