著者
山下 武志
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.254-256, 2009 (Released:2011-05-13)
参考文献数
10

心房細動(AF)を心臓電気生理学領域の疾患(機能異常)と捉える現在の抗不整脈薬治療では,予後改善効果をほとんど得られないことが,各国の大規模臨床試験結果から明らかになってきた.AFもほかの疾患同様,炎症といった構造異常の視点から考える必要がある.実際,開心術を受けたAF患者の左心耳組織には炎症が認められ,特に成熟マクロファージは心筋中央部,しかも慢性AFで多いことから,心内膜内皮障害が起点となり,細胞接着因子などを介してマクロファージが心筋内に浸潤・遊走し,構造異常を起こしていると考えられる.その過程で炎症性サイトカインの放出が関与している可能性が高い.炎症はAFの原因なのか結果なのかは,まだ明らかではない.しかし,今やAFという疾患のコンセプトを再考し,AFを炎症による構造の異常と捉えるべき新しい時代が到来している.

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