著者
奥村 謙 目時 典文 萩井 譲士
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.292-296, 2011 (Released:2011-10-14)
参考文献数
8
被引用文献数
3 5

脳梗塞はラクナ梗塞(LI),アテローム血栓性脳梗塞(ATCI),心原性脳梗塞(塞栓)(CE)の3つに大別される.久山町の疫学データでは,LI患者の生命予後は時代とともに改善しているが,ATCIとCE患者の予後は不良のままで,特に1988年~2000年のCE患者の1年生存率は約50%と極めて不良であった.2005年10月~2008年1月に弘前脳卒中・リハビリテーションセンターに搬送されたLI(215例),ATCI(308例),CE(245例)患者の退院時の機能予後をmodified Rankin scaleで比較すると,0点,1点の機能良好例はLIが63%,ATCIが46%,CEが31%であった.一方,4点,5点の機能不良例および6点の死亡例はLIが18%,ATCIが37%,CEが52%で,CEがほかに比して明らかに不良であった.CE症例の75%で持続性(永続性)または発作性心房細動(AF)の合併が認められたが,CE発症後の機能予後に発作性AFと持続性AF間で差は認められなかった.血栓溶解療法は確かに脳梗塞の有用な治療法であるが,その適応となる例はCEの11%にすぎなかった.したがってAF例でCEのリスクを有する患者に対しては,CE発症予防のための方策が極めて重要と考えられた.

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