著者
石川 利之
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.340-345, 2012 (Released:2015-07-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1

デバイス植込み症例において,腎不全は手術合併症,生命予後に大きな影響を及ぼす.腎不全があるとデバイス植込みに伴う血腫・感染のリスクが増大し,腎障害の程度が増すに従って危険性が高まる.特に,末期腎疾患では出血性合併症・感染が高率にみられる.植込み型除細動器症例において,腎疾患のある群は腎疾患のない群と比べ,心不全の有病率は高く心不全による入院回数は多く,生存率は低値である.近年,QRS幅の延長した重症心不全症例に対する心臓再同期療法(CRT)の有効性が示されているが,腎不全はCRTを施行した心不全患者の予後規定因子である.しかし,腎不全においてもCRTのレスポンダーの予後は非腎不全例と変わらず,CRT後に腎機能低下の進行が抑制された症例では左室のリバースリモデリングがもたらされ,予後改善効果が期待できる.デバイス植込み手術に際して,人工透析のシャントはデバイス植込み部位の決定時に問題となる.デバイス植込み症例に高率に合併する心房細動は脳梗塞の頻度を高めるが,ワルファリンの使用は脳卒中の頻度を著しく増加させるので,原則禁忌とされる.ワルファリン使用下のデバイス植込み手術は血腫・感染の危険因子となるが,手術時のヘパリン置換は,それ以上にリスクが高いとされ,むしろワルファリン投与継続下の手術がすすめられている.

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