著者
佐藤 伸之
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.126-138, 2017-07-06 (Released:2018-04-16)
参考文献数
35

早期再分極症候群の発作誘発因子については,いまだ十分に明らかにされていない.低K+血症がBrugada症候群の発作誘発因子になりうることは知られていたが,電解質異常と早期再分極症候群,J波との関連性についての報告はほとんどなされていなかった.われわれは,低K+血症が心室細動(VF)発作の誘因と考えられた早期再分極の1症例を,続いてステロイド治療がVFの誘発因子と考えられた早期再分極症候群の3症例を報告した.それらのなかには,抗アルドステロン薬を長期投与したことにより,再発が抑制されたと推察される症例も存在した.また,われわれはJ波症候群において心電図上の再分極指標と血清K+, Ca2+, Mg+濃度との関連を検討した.その結果,VF発作を呈したJ波症候群では血清Mg+とQT dispersionの間に負の相関が認められ,Tpeak-Tend dispersion,activation recovery interval dispersionと血清Mg+の間にも負の相関傾向が認められた.以上から,早期再分極症候群のVF発作誘発因子として電解質異常が一部関与する可能性が示唆された.

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