著者
田伏 久之 当麻 美樹 佐野 秀
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.654-663, 2018-10-31 (Released:2018-10-31)
参考文献数
27

これまで報告された医学論文を基に,病院外心停止に対する気管挿管(救急救命士による)の効果を検討した。その結果,気管挿管の効果は否定的とする報告が圧倒的に多く,気管挿管がマスク換気に比し病院外心停止の予後を悪化させることが示されていた。その理由として,気管挿管の技量にかかわる問題点,挿管操作に伴う胸骨圧迫中断時間の延長,気管挿管後の過換気による冠・脳灌流障害,搬送時間の遅延,などが指摘されていた。また,気管挿管と声門上器具使用の優劣については,一定の見解が得られていなかった。今後の対策として,異なる3つの意見を列挙すれば,①マスク換気を優先しこれを継続する意見,②気管挿管の技量向上のため,抜本的な救急救命士教育の見直しを図る意見,③現行の気管挿管や声門上器具を効率的に組み合わせる意見,があげられる。救急医療関係者は病院外心停止に対する気道管理について,今後さらなる議論を行う必要がある。

言及状況

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麻酔科医師と学生さんとのやりとりを拝見して少し残念だったのが呈示されていたこちらの論文 https://t.co/iGZWsZvwbZ こちらでは救命士による気管挿管だけでなくその他の声門上器具の使用まで否定されております
@Tak_INE_nurse なんどもしつこいですが、ここの論文によると高々1.8回くらいですね。病院で30例のあと半年に一回では難しいとおもいます。https://t.co/NiQ1jQFMer
@yusuke_tsugawa ありがとうございます。職種ではなく、挿管手技は技術の維持が難しいという点が大事かと。医師でも麻酔科医くらいでないと難しいでしょう。いくつかの案はこの論文に記載されてます。あと、バッグマスク換気の問題点も記載されてます。釈迦に説法と思いますが置いときます!https://t.co/NiQ1jQFMer
案の定ぼやが起こってますが、救命士挿管については、もう少しみんなきちんと議論してほしい、と思う。参考の論文へのリンク置いときます。https://t.co/NiQ1jQFMer https://t.co/mSPu9MO9Eq
@EMS_Paramedic_K とにかく、一度現行システムがどのような評価を受けていてどのような問題点があるか勉強されるべきです。「想い」や「努力」だけで患者の命を救えるならこんな簡単なことはありません。https://t.co/NiQ1jQFMer とにかくこれを読みましょう。職業を馬鹿にするつもりは一切ありません。
@EMS_Paramedic_K 馬鹿にするしないの話ではありません。患者の命のためにはきちんとした議論が必要です。とりあえず https://t.co/NiQ1jQFMer でも読んでください。

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