著者
中川 薫
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.94-103, 2005-03-31 (Released:2016-11-16)
被引用文献数
3

重症心身障害児の母親が、意識を変容させる契機とメカニズムを明らかにすることを目的として、9名へ半構成的インタビューを行い、得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、1)「子へのトータル・コミットメント」意識を形成した後、母親は「自己の喪失感」をつのらせていた。すなわち、子へのトータル・コミットメントを通して、最大限、子に一体化し、自分の全てを子に傾けた結果、自己を喪失したかのような感覚を抱き、かつこのような自己の状態を否定的に自覚していた。2)「自己の喪失感」という前提条件の下、「障害軽減の諦め」「役割的拘束の自己調整」をすることが契機となって、母親は「コミットメントの調整」をはかり、子と自分のバランスをとろうとしていた。3)コミットメントの調整後、母親は、子、自分、他の家族の状態の評価を行い、その結果をみて、コミットメントの再調整を行っていた。

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@h510gto この文献で成る程と思ったんですけど、リハなどの場面でお母さんのケアの負担の軽減に向けた取り組みやサービスの話などをしていくのもありかと。割と早くお母さんと生活の場面で関わるのはやはりリハなので! https://t.co/dQKSx5UEag

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