- 著者
-
漆畑 里美
- 出版者
- 日本看護技術学会
- 雑誌
- 日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.3, pp.74-83, 2009-12-05 (Released:2016-08-25)
- 参考文献数
- 36
本研究は日本の看護における「個別性のある看護」の概念的意味を明らかにし,展開と実態について考察することを目的に行った.医中誌Webを用いて日本語の「個別性のある看護」に関する30文献を選出しRodgersの概念分析法を用いて分析した.その結果,属性として【指導】【関わり】【支援 ・援助】の3カテゴリー,先行要件として{患者の状況}である【日常生活行動】【能力】【感情】,{状況を生み出している背景}である【自己認識】【生活】【パーソナリティ】【病歴】【経験 ・ 体験】【家族】,{現行の看護ケア}である【看護ケアの場】【実践】【看護姿勢】の計12カテゴリー,帰結として【進歩】【好転】【試み】【悪影響】の4カテゴリーが得られた.以上から「個別性のある看護」は「対象者の状態を望ましい方向へ移行するために,対象の置かれている状況およびその背景を把握し,それをもとに既存の看護を組み合わせる,調節 ・ 変更 ・ 改善することで創造される看護」と定義され,展開には適切な患者把握能力とケアの調整能力が必要であることが示唆された.