著者
山田 亜希子 栗原 亜由希 杉山 智美 浅里 仁 井上 美津子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.487-494, 2015-11-25 (Released:2017-03-16)
参考文献数
24
被引用文献数
6

家庭における子どもの歯科保健に対する保護者の意識とその実態について把握し,今後の保健指導に活用することを目的として,幼稚園に通う3 歳~6 歳の園児の保護者を対象に,子どもの歯科保健に対する意識調査を行い,以下の結果を得た。1 .齲蝕予防において歯磨き以外に気をつけていることは,父母ともに「定期検診」が最も多く,その重要性は広く認識されていたが,父親では「なし」も多かった。2 .母親の95.2%,父親の56.8%が仕上げ磨きを行っており,全体からは少数であるものの母親が働いている場合,父親が仕上げ磨きを行っている割合は高かった。また,父親の多くは「なんとなく」仕上げ磨きを行っていた。3 .子どもの口腔内への興味は,父母ともに「むし歯」が最も多く,次いで「歯並びや咬み合わせ」であった。4 .参加している育児項目において「仕上げ磨き」は父母ともに頻度の高いものであった。今回,子どもの歯科保健に対する幼稚園児の保護者の意識を,父母別々にその違いについて把握できたことは,今後の口腔衛生指導につながる意義のあるものであった。育児の主体が母親から両親へと移行してきているなか,父親の子どもの口腔内への関心は,母親に比べ低かった。今後,父親にも積極的に子どもの定期検診に来てもらい,仕上げ磨きに参加してもらえるよう,かかりつけ歯科医院での検診方法や口腔衛生指導も,提案していく必要が示唆された。

言及状況

外部データベース (DOI)

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【仕上げ磨き、誰がする?】 ある調査によると、子どもの歯の仕上げ磨きを行う母親は9割以上なのに対し、父親は5-6割。そのほか、歯科検診やフッ素使用に対する意識も父親と比べ母親の方が高く、子どもの口の健康に負う責任が、母親に偏っている現状がうかがえます。 https://t.co/zj3ccN59lI

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