著者
長尾 慶子 杉山 智美 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1059-1064, 1991-12-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

冷凍処理したコロッケの破裂の機構は室温試料の場合と異なることが推測されたので, とくに2および3mmの厚衣試料について破裂の機構を検討した結果, 以下の結論を得た.(1) 冷凍すると外皮に脆性が生じ, 強度が弱くなり, 内容物の保水性が低下して皮下に遊離水が集まりやすい環境になる.(2) 冷凍したコロッケ外皮は, 未冷凍の室温試料外皮に比べて厚さが不均一で組織もポーラスであった.その結果2mm衣コロッケでは, 外皮の局所的に薄い部分で高温になり, 皮下の遊離水のため飽和水蒸気が急激に高まり, 表層部破裂を引き起こすと考えられる.(3) 3mm衣コロッケでは, 外皮が厚いため皮下の遊離水が高温になることは避けられるが, 外皮が脆性のため内容物のわずかな膨張でも皮は最も弱い部分で局所的に亀裂を生じ, 全体破裂に至ると考えられる.
著者
山田 亜希子 栗原 亜由希 杉山 智美 浅里 仁 井上 美津子
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.487-494, 2015-11-25 (Released:2017-03-16)
参考文献数
24
被引用文献数
6

家庭における子どもの歯科保健に対する保護者の意識とその実態について把握し,今後の保健指導に活用することを目的として,幼稚園に通う3 歳~6 歳の園児の保護者を対象に,子どもの歯科保健に対する意識調査を行い,以下の結果を得た。1 .齲蝕予防において歯磨き以外に気をつけていることは,父母ともに「定期検診」が最も多く,その重要性は広く認識されていたが,父親では「なし」も多かった。2 .母親の95.2%,父親の56.8%が仕上げ磨きを行っており,全体からは少数であるものの母親が働いている場合,父親が仕上げ磨きを行っている割合は高かった。また,父親の多くは「なんとなく」仕上げ磨きを行っていた。3 .子どもの口腔内への興味は,父母ともに「むし歯」が最も多く,次いで「歯並びや咬み合わせ」であった。4 .参加している育児項目において「仕上げ磨き」は父母ともに頻度の高いものであった。今回,子どもの歯科保健に対する幼稚園児の保護者の意識を,父母別々にその違いについて把握できたことは,今後の口腔衛生指導につながる意義のあるものであった。育児の主体が母親から両親へと移行してきているなか,父親の子どもの口腔内への関心は,母親に比べ低かった。今後,父親にも積極的に子どもの定期検診に来てもらい,仕上げ磨きに参加してもらえるよう,かかりつけ歯科医院での検診方法や口腔衛生指導も,提案していく必要が示唆された。
著者
杉山 智美 斉藤 真理子 市川 智美 内山 けい子 熊谷 美智世 松葉佐 智子 工藤 裕子 小西 雅子 稲垣 順一 伊藤 隆 渋川 祥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.155, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】近年、土鍋に対する関心が高まっている。その一方で、炊飯や冬期における鍋物のみといった限定的な活用をする消費者も少なくない。土鍋と一般的に使用されている金属鍋では材質や形状が異なり、土鍋独自の特性を有することが予測される。そこで、土鍋のさらなる活用を目的とし、煮物・蒸し物調理における土鍋の加熱調理特性について検討を行った。 【方法】市販されている一般的な土鍋と金属鍋を用い、加熱条件(火力および加熱時間)を同じとし、煮物・蒸し物調理における加熱過程および調理物の仕上がりの比較を行なった。加熱過程は、耐熱内視鏡カメラによる鍋内の煮汁等の観察、サーマルカメラによる遠赤外線量の測定および鍋内部・食材中心部の温度計測を行なった。調理物の仕上がりについては、テクスチャー(煮くずれ、硬さ)および味(調味液の浸透度合い、グルタミン酸量)を機器測定するとともに、官能評価を実施した。 【結果】加熱過程において、金属鍋では煮汁中に不規則に大きな泡が発生したが、土鍋では鍋表面の突起等が沸騰のきっかけとなる規則正しい細かい泡が観察された。加熱時の遠赤外線量は、土鍋のほうが多く、本体および蓋からの放出が見られた。食材の中心部温度は、土鍋では金属鍋に比べ温度上昇が遅く、酵素活性が高い温度帯をゆっくり通過した。金属鍋では消火直後から鍋内部温度が低下したが、土鍋では一定時間温度上昇が継続し高温を維持した。その後の温度低下も緩やかだった。調理物の仕上がりについては、土鍋では煮くずれが少なく、硬さは軟らかい傾向が見られた。また、調味液の浸透度合いが高く、グルタミン酸量も多かった。以上の結果から、煮物・蒸し物調理における土鍋の優位性が示唆された。
著者
長尾 慶子 杉山 智美 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1059-1064, 1991-12-15
被引用文献数
4

The mechanism of the rupture in the crust of frozen croquettes during frying is investigated. (1) The crust becomes fragile and weak after freezing. Water holding capacity of the con-tents decreases after freezing and thawing, so that thawed water is isolated just under the crust during frying. (2) The frozen crust shrinks during frying and is subjected to tensile stress because of the expanded frozen contents, so that it becomes easy to rupture. The croquette with 2 mm thick crust becomes very hot during frying locally at the thinnest part of the crust, and the vapor pressure of the thawed water rapidly increases just under the crust, which causes explosion with pinholes. (3) In the croquette with 3 mm thick crust, vapor pressure does not increase enough to make pinholes because the crust is so thick that the temperature does not become very high. Because of the fragility of crust, however, even the slightest expansion of the contents cracks the weakest part of crust, which causes the whole rupture of the croquette. (Received June 1, 1991)