著者
藤原 惠洋
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.91, pp.61-68, 1992-05-01 (Released:2017-07-25)

創建神社は明治以降の創設になり国家神道思想より祭祀と由緒を創造した神社であったが,基本的な性格は,国家神道体制の教化拠点としての役割,国庫支出による国家的事業としての創建,古式遵奉に則り祭祀に応じた社殿意匠の設定,近世期神仏習合を排除し簡素な神社施設の再構成といった点を共通項として見せた。具体的例として,創建神社の嗜矢である明治5年竣工の別格官幣社湊川神社に見られた本殿の春日造は地域的様式を反映させたものと言え,制限図に則った吉野神宮,独創的な神明造を見せた宮崎神宮,御所施設を移築した橿原神宮の初期創建神社4例を通し,建武中興の時代から神武天皇の再評価へ復古目標を遡行させながら見られた意匠的混乱が,明治中期に効力を発揮した制限図によりいったん回収され本殿流造に統一,明治後半期になると復古主義的発想と創造的発想との対立を生み出したことを究明した。

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創建神社の意匠特性と復古主義的意匠の創出に関する考察https://t.co/3TonThJXj2 #海外神社

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