著者
小松 亜紀子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.21-26, 2006-01-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では,大学生へのアンケート調査により観測したデータについて構造方程式モデルによる分析を行った。これにより,身近な工業製品における製品スタイル選択を通じて実現される「成果要因(共通性,不安,評価)」を媒介変数とし,「自分らしさ」に関連する「自己認識要因(相互協調的自己観,自尊感情)」が「流行志向」に及ぼす影響について,因果モデルを構築した。このモデルにより,「相互協調的自己観」の強い傾向と,「自尊感情」が強い傾向は,製品スタイルにおける流行を生じる上で,相補的な関係にあることを明らかにした。また,「相互協調的自己観」の傾向が強い場合は「自分らしさ」の定義を他者動向に依存し,「自尊感情」の傾向が強い場合は他者から選択結果についての評価を得て自己実現を図るため,それぞれ「自分らしさ」が結果的に製品スタイル選択における流行と強く結びついているものと考える。以上をふまえると,工業製品の製品スタイルにおける流行採用というかたちで,「自分らしさ」に関する自己認識が反映されているものと考える。

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