著者
尾山 真 金岡 省吾 小松 亜紀子 市村 恒士
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.567-572, 2023-03-31 (Released:2023-05-12)
参考文献数
28

The purpose of this study is to clarify changes in students' awareness of regional settlement in the "Regional Life Plan" course at the University of Toyama through quantitative analysis, and to examine the usefulness of the course. Specifically, a structural covariance analysis was conducted on the questionnaires at the beginning and the end of the course conducted in 2022, to construct structural models of regional- settlement-awareness at the beginning and the end of it. These models suggest that students' awareness of settling in the region is correlated with their choice of region and choice of company. It is also suggested that students' understanding of the social contribution and name recognition of a company increases the attractiveness of employment opportunities in Toyama Prefecture. In addition, it is suggested that a decrease in the importance of regions outside of Toyama Prefecture increases the attractiveness of job placement in Toyama Prefecture.
著者
小松 亜紀子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.21-26, 2006-01-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究では,大学生へのアンケート調査により観測したデータについて構造方程式モデルによる分析を行った。これにより,身近な工業製品における製品スタイル選択を通じて実現される「成果要因(共通性,不安,評価)」を媒介変数とし,「自分らしさ」に関連する「自己認識要因(相互協調的自己観,自尊感情)」が「流行志向」に及ぼす影響について,因果モデルを構築した。このモデルにより,「相互協調的自己観」の強い傾向と,「自尊感情」が強い傾向は,製品スタイルにおける流行を生じる上で,相補的な関係にあることを明らかにした。また,「相互協調的自己観」の傾向が強い場合は「自分らしさ」の定義を他者動向に依存し,「自尊感情」の傾向が強い場合は他者から選択結果についての評価を得て自己実現を図るため,それぞれ「自分らしさ」が結果的に製品スタイル選択における流行と強く結びついているものと考える。以上をふまえると,工業製品の製品スタイルにおける流行採用というかたちで,「自分らしさ」に関する自己認識が反映されているものと考える。
著者
小松 亜紀子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.55-64, 2004
参考文献数
22
被引用文献数
4

本研究では,携帯電話を題材とし,形態的要素の類型化によって得た異なる6つの製品スタイルについて,大学生を被験者とする選択と評価のアンケート調査を行った。分析の結果,因子分析により独立的要因である「訴求力(時代感覚,美的価値や高級感などの心理的に訴える力と関連)」「自分らしさ(自分の個性,性別や年齢と製品スタイルの適合)」,相互依存的要因である「相互依存性(周囲における製品スタイルの普及状況)」「普遍性(製品スタイルの定着や懐古と関連)」の4つの社会心理的な評価要因を抽出した。さらに,この評価要因を説明変数,製品スタイルの満足度を目的変数とする回帰分析により,「自分らしさ」と「訴求力」で有意な寄与が認められた。この結果から,製品スタイルに関する嗜好変化には,「自分らしさ」という社会的な理由だけでなく,「訴求力」という知覚的な理由が関与していると考えられ,従来の社会的な理由を中心とする流行や消費者の選択行動の説明に一考を迫るデータを得た。