著者
若月 利之
出版者
土壌物理学会
雑誌
土壌の物理性 (ISSN:03876012)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.13-25, 2009 (Released:2021-09-06)
参考文献数
37

ガーナ,ナイジェリア等における筆者らの水田稲作研究に基づき,アフリカの水田農業において緑の革命が成功していない自然科学 · 社会科学的要因を述べ,緑の革命の実現を可能にするための二つの仮説(水田(Sawah,サワ)仮説)について解説した.第一の仮説は,「アフリカに緑の革命をもたらす技術は,バイオテクノロジーのような品種改良だけでは不十分であり,農民の穀物栽培生態環境の改良を行うエコテクノロジー(生態工学技術)が必要」であり,第二の仮説は,「水および物質の循環量の少ないアフリカにおいては水田の開発適地の選別が重要であることを前提に,適地に開発された水田は適切に管理されれば,畑作の 10 倍以上の持続可能な生産性をもたらすこと」である. 後者において,水田の開発適地の選別のためには,集水域における物質循環の把握が重要であり,土壌物理学分野の研究協力が不可欠であることを述べた.

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@Tamejirou それって例えばコレ?「西アフリカでは古い地質と長期にわたる風化作用によって,リン酸や各種塩基の含有量が低く,砂質でかつ粘土の活性も低い,極めて劣悪な土壌が分布しており,イオウや亜鉛等,必須微量元素の欠乏土壌も広範」https://t.co/wfAn0qFD3m

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