- 著者
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落合 博之
登尾 浩助
北 宜裕
加藤 高寛
- 出版者
- 土壌物理学会
- 雑誌
- 土壌の物理性 (ISSN:03876012)
- 巻号頁・発行日
- vol.112, pp.9-12, 2009 (Released:2021-09-05)
- 参考文献数
- 14
土壌消毒の中心であった臭化メチルの使用が全面禁止され,それにより低負荷消毒法として熱水土壌消毒法が脚光を浴び始めた.しかし,熱水土壌消毒法は,新しい消毒法のため研究例が少ない.そこで本研究では,硝酸態窒素と塩素,亜硝酸態窒素,アンモニウム態窒素の濃度変化を調べた.実験は,温度90 ◦C の熱水を土壌に 204 L m−2 供給し,熱水消毒前と熱水投入 9 日後,熱水投入 3 ヶ月後の溶質濃度を,地表面から深さ 40 cm まで 5 cm 毎に採土後,土壌溶液を抽出し,土壌溶液中の溶質濃度変化について調べた.その結果,熱水消毒により溶脱が促進された.また,熱水投下から 3 ヶ月後に,硝酸態窒素,塩素,亜硝酸態窒素は,30 cm 以深で溶質濃度の増加が見られた.一方アンモニウム態窒素は,熱水により硝酸化成菌が死滅したためにはじめはほとんど変化がなく,時間経過と共に硝酸化成菌の復活
により深層で減少したと考えられた.