著者
夏堀 摂
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-54, 2007-05-31 (Released:2018-07-20)

本稿では,障害児者とその親がおかれた状況の一端を明らかにするために,戦後の「親による障害児者殺し」事件の推移に注目し,過去の新聞報道を基に分析を行った.その結果,(1)未成年の障害児が被害に遭う事件が1980年代以降減少しているのに対し,成年障害者の被害は1990年代以降急速に増加していること,(2)1990年代以降知的障害児者の被害が増加していること,(3)同時期に特に成人期の知的障害者が殺される事件が急増していること,(4)在宅・同居の場合に事件が起こることが圧倒的に多いが,施設に入所していたにも関わらず被害に遭うケースも散見されること,(5)1990年代以降高齢の親による加害が増加していること,が明らかとなった.以上の結果をもたらした要因を,各時代の社会的背景をも考察しつつ検討し,そこから親を中心とする家族が第一義的にケアを負担するシステムの矛盾を指摘した.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (8 users, 8 posts, 58 favorites)

親による障害児者殺し事件の検討 https://t.co/eRsL5jsGrm “子殺し事件の引き金になっているのは直接的な介護負担の問題だけではない 施設に入所しても子供に関する責任を最終的には親が全て負うのだという意識/規範もこうした事件を生み出す背景となっている” 一線を超えるかは薄皮1枚の差と感じる
この数字はhttps://t.co/aCcALea3Rgここから参照してるんだけど、朝日新聞の記事だけを対象とし抽出してあるから実数ではないかも・・・?
で、ついでにこれ見てたんだけど描かれた年代と障害乳児殺しのピークが重なってるのを見てオッてなった。 J-STAGE Articles - 戦後における「親による障害児者殺し」事件の検討 https://t.co/Jp4qATP1Ig

収集済み URL リスト