著者
松村 智史
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.1-13, 2019-08-31 (Released:2020-01-29)
参考文献数
21
被引用文献数
6

本稿は,生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業の成立に関して,厚生労働省設置の検討会,社会保障審議会の部会の議論を分析した.まず,学習支援での学びは,単なる学力のみならず,将来の自立に資する生活力など,非認知能力を含む多元的能力と理解されるようになった.さらに,こうした能力を身につけるうえで,親の養育や家庭環境の改善の必要性が注目され,学習支援と世帯支援の一体化,学習支援から世帯支援につなげるという展開が形成されつつある.また,かかる展開をより実効的に行うために,支援の入り口としての子ども食堂など地域の取り組みや,継続的な進学・就学支援に欠かせない学校等,多様な機関との連携強化,情報共有が期待されている.今般成立した事業は,学習支援の変遷のなかで,学習支援と生活支援が結実した,総合的支援事業の意義を帯び,位置づけられるといえることが明らかになった.

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