著者
小村 智香 濱 武英 一ノ瀬 裕稀 久保田 富次郎
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.43-50, 2021 (Released:2021-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
2

火山地域を含む流域では, 噴火による噴出物により流域河川の水質に影響を与える可能性がある。霧島火山群の1つである硫黄山は, 2018年4月19日に約250年ぶりに噴火活動を再開し, 噴火口から流出した泥水によって近隣を流れる長江川は汚染された。特に, ヒ素は環境基準値 (10 μg L-1) を超過した。本研究では長江川のヒ素に着目し, 流下過程における濃度変化, pHおよび電気伝導度 (EC) との関係, 流出の特徴を連続的な観測により明らかにした。その結果, 以下のことが明らかになった。1) 流下過程において支川との合流による希釈が作用し, ヒ素濃度の低下, pHの上昇, ECの低下が認められた, 2) ヒ素濃度とpHおよびECは相関を示し, その傾向は特に上流部の無降雨時に高い, 3) ヒ素は無降雨時に鉄やアルミニウム酸化物に吸着され, 河床に沈殿することで河川水中から除去される一方で, 降雨時には河床に堆積した懸濁態ヒ素が巻き上がることで水質が悪化する可能性がある。

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