著者
Michihiro FUJIWARA Nobuaki EGASHIRA Kenichi MISHIMA Katsunori IWASAKI
出版者
和漢医薬学会
雑誌
Journal of Traditional Medicines (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.149-155, 2007 (Released:2007-12-28)
参考文献数
60
被引用文献数
1

これまで我々が行ってきた当帰芍薬散のアルツハイマー病や脳血管性障害に関する基礎研究を概説した。 当帰芍薬散は抗コリン薬による空間記憶障害を改善し, アセチルコリン機能を亢進する。 我々はこの作用における活性成分の探索を行い, ブタノール画分に含まれるベンゾジアゼピン受容体インバースアゴニストである Ang-S-1 であることを見出した。 さらに, 我々は当帰芍薬散が背側海馬におけるアセチルコリン遊離や脳血流を増加し, アルツハイマー病の原因蛋白であるアミロイドβ蛋白による神経障害を保護することも明らかにした。 一方, アルツハイマー病や脳血管性障害の動物モデルの検討において, 当帰芍薬散は繰り返し脳虚血ラットにおけるアポトーシスを伴った空間記憶障害を虚血後の投与によって予防することやアミロイドβ蛋白を背側海馬に注入した卵巣摘出ラットにおける空間記憶障害およびアセチルコリン遊離の低下を予防することも我々は証明した。 以上, 当帰芍薬散はアルツハイマー病や脳血管性障害の動物モデルに対して神経活性や神経保護作用を有しており, これらの疾患の治療に有用であることが考えられた。

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