- 著者
-
種田 博之
- 出版者
- 学校法人 産業医科大学
- 雑誌
- Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.3, pp.263-276, 2001-09-01 (Released:2017-04-11)
今日の日本社会において, 占いは日常生活のいたるところで見ることができるほど, ひとつの「社会的事実」となっている. このような状況ではあるが, 占いは社会学的にはいまだに未知の現象のままである. 占いに関しての分析を行っていく上で, 占い師は占いの技法を管理する職能者であるということから, 重要な要素の一つをなしている. したがって, 占いについての十分な考察を進めていく上で, なによりもまず占い師の特徴を明確にする必要がある. この論文の目的は, 占いに正当性を付与する「根拠」と占い師を占いへと方向づけた「契機」を明確にすることで, 占い師の特徴を示すことにある. 「根拠」としては, 「直感=インスピレーション」か, もしくは経験を通して形作られた「体系的知識」かのどちらかをとられる. 「契機」は, 「自発」か, もしくは「強制」かのどちらかがとられる. こうした類型を用いて今日の占い師を捉えるならば, 「知識」と「自発」の両方の特徴をもつ占い師が顕著であることがわかる. では, なぜ, この類型の占い師が、今日, 顕著なのであろうか. この問題を, 本稿では社会構造の関係で分析する.