著者
堀江 正知
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.481-505, 2004-12-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
5 5

日本の産業保健制度では, 事業者に法定健康診断結果の保存義務を課し, 労働者の健康状態を把握した上で職場や作業を改善するよう求めていることから, 実際には人事担当者が労働者の健康情報を直接取り扱っている. 一方, プライバシーは19世紀後半からその概念が発展し, 近年は個人情報の自己コントロールが重要とされ, 中でも健康情報は特に機微な情報として本人の承諾なしに取扱うべきではないとされている. したがって, 日本の産業保健活動においてはプライバシーが侵害されるリスクは高い. 健康増進法と個人情報保護法も相次いで公布され, 訴訟に発展した事例もある. しかし, 職場の実態調査によれば, 現行制度への問題意識は高くなく, 健康情報の種類によってプライバシー保護の要求度に相違もある. 産業保健専門職は, 学会の倫理指針などを参考に労働者の健康情報の活用と保護の両立に努めることが求められている.

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